[達人列伝](80) ニラ 北海道知内町・大嶋貢さん(49) 緻密な管理で高収量 研究実り通年出荷に貢献

きめ細かい管理で高収量を挙げている大嶋さん(北海道知内町で)

 畑の多くが雪に閉ざされる冬の北海道で、貴重な地場産野菜として道民に愛される知内町のニラ「北の華」。約2ヘクタールを手掛ける大嶋貢さん(49)は、地域トップクラスの大規模栽培をしながら、きめ細かい管理で高収量を挙げている。ブランド力を高めるため、それまで出荷がなかった11、12月に収穫できる新たな栽培体系も確立。通年出荷への道を開いた。

 同町は道内最大のニラ産地。「北の華」は、しゃきしゃきとした食感や甘さが特徴だ。

 一度植えたニラは3年間栽培する。1年目は株を育て、2年目以降に数回収穫する。大嶋さんが最も重視する作業が、1、2年目の7~11月に行う「株養成」。この成否が次年産の作柄を決めるという。

 ハウスのビニールを外し、追肥や防除をして球根を育てる。ポイントは、倒伏しにくい丈夫な株作り。肥料は少量を小まめに与え、成長を促しながらも草丈が伸び過ぎないようにする。葉の色や幅、分けつの様子を観察し、タイミングや最適量を見極める。暑い時期はチューブでかん水し肥料の吸収を促す。こうした緻密な管理で、2018年産の10アール収量は地域の平均を25%上回った。

 JA新はこだての知内町ニラ生産組合では、7年前から組合長を務めブランド振興に力を入れる。「ビジョンが明確で、地域の農業を守ることを第一に考えている」(JA担当者)と信頼を集め、互選で決まる役員を約20年にわたり務め続ける。

 産地のリーダーとして、率先して栽培技術などの研究に打ち込む。成果の一つが晩秋取り品種の導入だ。町内の主力品種は、11、12月が収穫の空白期間。大嶋さんは冬の鍋物需要などに応えようと、この時期に収穫できる新品種を模索した。1人で5年ほど試験を重ねて有望な品種を選び、栽培体系を確立した。

 若手向けの栽培マニュアル作りなどにも尽力。原動力は、人一倍強い地域への思いだ。「大嶋農園は、先人が築いた『北の華』のずっと後ろの看板にすぎない」が持論。「周りと違うことで成功するよりも、町のみんなで日本一の単価を目指すのが楽しい。変わっているでしょう」と笑う。町がニラ産地として重ねた48年の歴史が、一番の誇りだ。(石川知世)
 

経営メモ


 ニラや水稲、大豆など約20ヘクタールを栽培する「大嶋農園」代表。家族4人と実習生やパート従業員3人で作業する。
 

私のこだわり


 「1人なら1歩だが、10人なら10歩。ブランドはみんなが手をつないで作るもの」

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