安倍政権と参院選 鍵を握る二階幹事長 作家 大下英治

大下英治氏

 もろかった第1次政権に比べて、今の安倍内閣は別人かと思えるほどの強さを見せている。官邸に菅義偉官房長官、自民党には二階俊博幹事長と、内閣と党の要のポジションに、したたかな人物を据えたことが政権の強さを支えている。

 なにより、安倍晋三首相が昨年の自民党総裁選で3選を果たしたのは、二階氏あってのことである。自民党総裁は「最長2期6年」となっていた。規定のままならば、安倍氏は昨年9月に総理、総裁を終えざるを得なかった。総務会長時代の二階氏が「総裁任期の延長もあり」と打ち上げて流れをつくり、2016年8月に幹事長に就任するや「連続3期9年」を決めた。
 

総理の後は総理


 安倍首相は17年9月28日に、突然の衆院解散に踏み切った。ところが、新聞や週刊誌が、希望の党が150人を超える議席を獲得するのではとの予測を報じた。安倍首相は恐らく内心、青ざめただろう。だが、ひやひやの衆院選も、二階氏の指揮の下、大勝利を収めた。

 18年3月に財務省の文書改ざんが発覚し、「モリ・カケ問題」が再燃した際には、内閣支持率にも暗雲が立ち込めた。自民党内からも総裁選での3選を危ぶむ声が上がった。安倍氏からの禅譲をもくろんでいた岸田文雄政調会長ですら、出馬の準備を始めた。

 だが、二階氏は一貫して言い続けた。

 「安倍総理の後は、安倍総理だ」

 潮目となったのが、18年6月10日の新潟県知事選だった。自民党は二階氏の運輸大臣時代の秘書官だった花角英世氏を擁立した。知事選で敗れれば二階氏も傷つくが、安倍氏3選の流れも危うくなる。花角候補は、野党の推す池田千賀子候補を破り、勝利。安倍3選の流れが一気に強まり、岸田氏も不出馬を表明した。

 総裁選には結局、石破茂元幹事長が挑んだものの、歯が立たず、安倍氏が3選を果たし、二階氏は幹事長に再任された。
 

日中関係深化へ


 二階氏は、日中外交におけるキーマンでもある。

 15年5月に、3000人を超える民間大使と共に、人民大会堂で中国の習近平国家主席と夕食会を開いた。

 17年5月、北京で現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際協力首脳会議が開催された。習主席は二階氏に「古い友人」と呼び掛けた上で、こう語った。

 「二階氏が出席されたことは、『一帯一路』イニシアチブへの日本側の積極的な態度を表しており、高く評価したい」

 二階氏は17年12月にも習主席と会談した。二階氏による日中友好の取り組みにより、冷えていた安倍首相と習主席との距離は確実に縮まっている。今や「二階―習ルート」を通じ、日中関係は「互恵」から「共創」へと深化している。

 さて、今年夏の参院選時に果たして衆参のダブル選挙があるのか。鍵を握るのは、やはり二階氏である。

 おおした・えいじ 1944年、広島県生まれ。広島大学文学部卒業。週刊文春の記者を経て作家として独立。政財官界から芸能、犯罪など幅広いジャンルで創作活動を続けている。著書に『週刊文春 トップ屋魂』『最後の怪物 渡邉恒雄』など。

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