言語・文化壁越えて 外国人就労見据え 試行錯誤 北海道

外国人技能実習生に仕事を教える高橋代表(右)(北海道ニセコ町で)

同僚と打ち合わせする外国人技能実習生のサポートをするJA道北なよろの榮さん(中)(名寄市で)

 外国人技能実習生が急増する北海道で、語学や文化の壁を乗り越えて、農業や地域を知ってもらおうと、農家やJAが対応に乗りだしている。JA道北なよろは中国人を正職員として採用して、実習生の暮らしをサポートする。JA新はこだては日本語や文化を学んでもらう教室を積極的に開く。外国人就労を拡大する改正出入国管理法(入管法)が4月に施行され、外国人とのコミュニケーションは重要性を増す。外国人の受け入れに向け産地の試行錯誤が始まっている。(望月悠希)
 

実習生急増 SNS夢中… 交流希薄に


 「実習生が日本語を覚えにくくなっている」。ニセコ町で乳牛390頭を飼育する高橋牧場代表の高橋守さん(67)は、危機感を募らせる。10年ほど前から中国人の実習生を受け入れ、現在3人が学ぶ。ただ、近年はインターネット交流サイト(SNS)などで母国と連絡しやすくなり、実習生が部屋にこもりがちで交流が希薄になりやすいという。

 実習生は搾乳や餌やりを担うが、細かい指示を出すには一定の日本語を理解することが必要だ。高橋代表は「日本語を覚えてくれれば、もっとレベルの高い技術を教えることができる。母国でも生かせるはずだ」と強調する。住み込みの実習生と食事し、翻訳機を購入するなどコミュニケーションを密にしようと努力を重ねる。

 道内で農業を学ぶ外国人技能実習生は急増している。監理団体を対象とした道による任意調査では、2017年の農業の外国人技能実習生の受け入れは2441人で前年に比べ13%も増加した。一方、受け入れ団体から「技能実習生の高齢化や漢字圏以外の国からの増加で、日本語レベルの低下が見られる」という声が上がった。

 改正入管法の施行で新たな在留資格「特定技能1号」が創設され、上限で5年間在留できるようになる。日本語能力を判定するテストが導入されるが、3年間の技能実習修了者は免除される。実習期間中に一定レベルの日本語を習得することが前提で、道は「受け入れ側が交流や日本語習得の環境を整える重要性は増している」(経済部)と指摘する。
 

中国人職員が支援 支店で日本語 JA道北なよろ JA新はこだて


 JA道北なよろでは、中国から来日した榮維民さん(45)が、正職員として実習生を支える。JAは監理団体として年間約50人の実習生を受け入れ、多くが約7カ月間学ぶ。榮さんは実習生受け入れの事務に加え、語学力を生かして実習生の相談に乗るなど、生活面でサポートする。特に求められるのが、病状を正確に伝える必要がある通院時。風邪をひく実習生が多い時期は、週2、3回付き添う。慣れない生活に悩む実習生の相談にも乗る。榮さんは「ホームシックで悩む実習生と話をして、残ってくれる決断をしてくれたときにはやりがいを感じる」と話す。

 JA新はこだて大野基幹支店は月2回、ベトナム人の実習生向けに日本語の勉強会を開いている。管内には実習生が約10人おり、農家の要望を受けて始めた。JA職員が実践形式で日本語の会話を教える。同支店は「実習生は3年間日本で勉強し、家族のために稼ぎたいという思いが強い。勉強会には積極的に参加している」(営農課)と話す。

 生活や文化面でもサポートする。地元の警察署員から交通安全について学ぶ講習の他、豆腐作りやそば打ち体験を用意。JA女性部も積極的に交流行事を開く。女性部員は実習生に地元伝統料理を教え、実習生はベトナム料理を教える。

 地元の大学の学生と実習生との交流も進める方針だ。同支店は「外国人就労が拡大し、道外や海外と人材の取り合いが激化する。待遇面では時給制から月給制に切り替えるなど改善が進むが、暮らしの面でも支援を強化し、選ばれる環境をつくりたい」(同課)と強調する。
 

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