東日本大震災8年 原発依存からの脱却を

 東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故からきょうで8年。官民挙げた復旧・復興作業は続くが、原発の処理が再生を阻む。国は再生可能エネルギー(再エネ)の活用など、安全・安心を最優先にした政策に切り替えるべきだ。

 崩壊した福島第1原発を横目に、帰還困難区域やその周辺を見渡すと、事故発生から時間が止まったままのような家屋が点在し、復旧・復興の難しさを物語る。廃炉は決まったものの、汚染水をはじめ、除染や廃炉作業で生じた放射性廃棄物は、最終処分地さえ定まっていない。核燃料の取り出しや原子炉の解体はまだその先だ。30~40年後を目指すとされる廃炉への道筋は、生易しいものではない。住民の苦しみは続く。

 避難民は古里の土を踏めるのだろうか。帰還に向けて健康面の不安もあるだろう。宅地の「面的除染」を終え、住めるようになった地域でも不安感は根強い。廃棄物の撤去は進まず、避難している間にイノシシが家屋や田畑に侵入し、生活や営農再開を妨げている。農畜産物の安全性は確保できているのに安心につながらない、いわゆる「風評被害」も続く。国や東電は、実態をもっと重く受け止めるべきだ。

 福島県以外で、大津波による農地の流失や冠水を受けた地域は、除塩作業が進み、農水省によると津波被災農地の大方で営農再開が可能となった。排水機場もほぼ復旧した。大規模農地が整備され、大規模イチゴ団地や高度な環境制御技術と地域エネルギーを活用した「次世代施設園芸」も誕生した。

 しかし、原発事故が起きた福島県は、復旧・復興の立ち遅れが目立つ。8年に及ぶ多大な労力と膨大な資金を投入しても復旧に程遠い実態を見ると、原子力に依存する国のエネルギー政策は、理解に苦しむ。

 こんなに安全性が疑問視されているのに、各地で休止している原発の再稼働を推し進めようとし、海外にも輸出しようとしている。事故の惨禍が教訓として生かされていない。

 もう原子力発電にこだわるべきではない。太陽光発電に加え水力や風力、地熱やバイオマス(生物由来資源)、海底にあるメタンハイドレートなどあらゆる再エネとのベストミックスを試みれば、原発依存から脱却できるはずだ。

 SDGs(持続可能な開発目標)が求められる時代で、再エネ主体に進めることは、未来への正しい選択と言えよう。国民の理解も得られるはずだ。

 日本列島は、1000年に1度の「大地動乱」の時代に入ったという。原発事故は地震や津波だけでなく、火山や航空機事故などの外部要因、機器の故障や人為的ミスが重なって起きることがある。

 古里を追われる最悪の事態を二度と繰り返さないためにも、政府は再エネ優先にかじを切るべきだ。

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