[達人列伝](83) チコリ さいたま市・榎本昇さん(66) 大きさ 白さ 食感抜群 高級料理店からも太鼓判

収穫したチコリをアピールする榎本さん(さいたま市で)

 西洋野菜の一種のチコリ作りの名人、さいたま市の榎本昇さん(66)は、欧州諸国からの輸入が大部分を占める中、鮮度と品質で勝負する。大ぶりで食感が良く、遮光を徹底することで生まれる乳白色のチコリは、高級レストランなどから好評だ。

 チコリと榎本さんの出合いは約40年前。当時、収益性の高い新たな作物を探して埼玉県に相談したところ、チコリを提案されたという。榎本さんは「その頃、チコリを使うフレンチなどの店が増えており、可能性を感じた」と振り返る。

 当時、チコリを作る農家はほぼいない状況で、試行錯誤の連続だった。「手本がないので、どんな商品が良い品なのか、判断基準がなく苦労した」という。

 だが、「誰もやっていないことへの挑戦は燃える」と榎本さん。市場関係者の「もっと大きく、食べ応えのある物が欲しい」という声を聞き、MやLといった小ぶりなサイズを中心に作っていた方針を転換。より大きな2Lや3Lの栽培を目指した。

 工夫したのは、根株作りだ。それまで10センチほどの間隔で種をまいていたのを15センチに広げるなど、畑にゆとりを持たせることで、太い根株作りに成功。作った根株をトンネル内に植え替えると、大ぶりなチコリが収穫できた。

 見栄えにもこだわる。チコリは日に当たると葉の色が濃くなり商品価値が低下する。そのため、根株を植え替えた後は厚さ0・3ミリの黒マルチをトンネルに2枚かぶせて遮光することで、きれいな乳白色になる。

 収穫後も品質には細心の注意を払う。直売所出荷時には、光をカットする袋に詰めることで品質維持する。JAさいたまの農産物直売所「木崎ぐるめ米ランド安心館シャキシャキ」の牧野勝雄所長は「何度も購入する人もいて、人気商品だ」と話す。

 20年以上榎本さんのチコリを使っている、さいたま市のフランス料理店「アルピーノ」の鎌田守男総料理長は「鮮度が良く、食べた時のシャキシャキ感がいい。生でも加熱してもおいしい」と評価する。

 3戸の農家で構成している浦和軟化蔬菜(そさい)出荷組合チコリー部会で部会長も務める榎本さん。「今後は、仲間と規模拡大のため、労力がかかるチコリの根株の掘り取り作業の機械化を目指したい」と、情熱は増すばかりだ。(藤川千尋)
 

経営メモ


 年間で約1万5000本を市内のレストランやJAの直売所などに出荷。木の芽も栽培する。労働力は、本人、妻、パート1人。
 

私のこだわり


 「海外産が多いが、国産の鮮度が売りのおいしい商品を部会メンバーと協力して消費者に届けたい」 」
 

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