食の簡便化 産地発の6次化商品を

 日本人の食生活は、平成の30年間で大きく変わった。家庭の食卓は洋風化とともに、準備にかける時間を短縮する「簡便志向」が顕著だ。高齢化が進み、単身世帯や共働き世帯も増加する中、今後も簡便化の流れは加速するだろう。食の動向を把握し、産地ならではの商品を提案していくべきだ。

 食の簡便化は、総務省発表の家計調査から読み取れる。2018年と1989(平成元)年の1世帯(2人以上)当たりの食品年間支出額を比べると、生鮮品から調理済み食品へのシフトは鮮明だ。特に生鮮品の中で魚介と果実の支出減が著しい。一方で乳製品は倍増し、調理食品は7割増となった。

 品目別に見ると、支出額の増加率トップとなったのはサラダの3・3倍で、生鮮野菜の2%減と対照的だ。次いで洋食になじみやすいヨーグルトやチーズ、ワインが続いた。

 逆に減少率でトップとなったのは米の6割減。主食で競合するパンは2割増え、18年の支出金額は3万円超と米を3割近く上回った。米の需要は冷凍チャーハンなど加工米飯に移ってきたとはいえ、主食の座をパンに奪われた格好だ。

 ご飯を主食とした和食が減り、パンに乳製品、サラダなど洋食の場面が増えた食卓の姿がうかがえる。和食でも米はパック米飯や冷凍米飯で、総菜はコンビニなどの中食を購入するケースが増えている。日本政策金融公庫の調べでは、4割の人が週2日以上は市販の弁当や中食を購入しており、需要はさらに増えると予測する。

 少子高齢化に伴って高齢者の割合は今後さらに高まり、家計を支えるために夫婦共働きの家庭は増えることが予想される。これは、食材を買って調理し、食事を作る時間的な余裕がさらになくなることを意味する。

 調理も、生協の宅配で伸びている下ごしらえ済みの「ミールキット食材」の需要が増えそうだ。食品メーカーは、モヤシなどの野菜の上にかけて電子レンジで温めるだけで一品料理ができる時短調味料を相次いで発売している。

 産地は、こうした動向を捉えて商品を提案する必要がある。需要が伸びている業務用米もその一つだ。家庭用と比べて単価は安いが、多収で一定の収入を見込める。生鮮果実の消費は減っているが、皮ごと食べられるブドウ「シャインマスカット」のように比較的高値でも消費を伸ばしている品目もある。缶詰や乾燥品などの果実加工品は5割増の伸びで、ケーキなどに使われる果実も増えている。

 産地が6次化商品を開発して売り込むことができれば、高い付加価値が見込め、収入増につながる。加工品のブランド化は生鮮品の知名度アップと販促につながる。手軽さ、健康、安全・安心、国産原料への信頼などのキーワードを手掛かりに、6次化を視野に入れて簡便化の時代を乗り切ろう。 
 

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