春のセンバツ 農系球児いざ 初の大舞台へ 茨城県立石岡第一高 25日に盛岡大付と初戦

生産した米を提供し、石岡一高野球部を応援する来田さん親子(茨城県土浦市で)

握手を交わす石岡一高の酒井主将(右)と盛岡大付高の及川主将(15日、大阪市で)

 茨城県立石岡第一高校が25日に第91回選抜高校野球大会で、岩手県の盛岡大学付属高校を相手に、初戦に臨む。同部は部員の約4割が園芸科や造園科という農業系学科に所属。昨年の秋季県大会で強豪校を破った努力などが認められ「21世紀枠」で甲子園に初出場する。勝利に向け練習に汗を流すナイン。選手の体づくりのため、地元農家らは農産物を提供するなどして、食で後押しする。
 

“闘志の源” 地元米 農家に感謝「恩返しを」

 
 「しっかり守っていこう」「球見ていこう」と声が響く同校グラウンド。3月上旬、実戦を想定した練習試合が行われた。鋭い打球に、力強い投球。力の源はプレーする選手の体をつくる食だ。

 同部では、基本的に身長から100を引いた値に、体重が届いていない選手には、昼食と夕食の間に丼1杯が目安の米を食べる「補食」を実施する。体を大きくし、打つ、走る、投げるといった基本的なプレーのパフォーマンスを上げることが狙いだ。川井政平監督は「食べることもトレーニングだ」と説明する。

 農家も食で選手の体づくりを支える。茨城県土浦市の来田雅彦さん(52)、諒さん(22)親子は同部のOB。栽培した自慢の米を月に180キロ同部に購入してもらっている。雅彦さんは「農家はみんな期待している。農業系高校の代表として、甲子園で勝利を挙げ、校歌を全国にとどろかせてほしい」とエールを送る。

 練習試合の合間には、地域の農家らから提供された農産物を使った焼き肉丼と豚汁も選手に振る舞われた。最速147キロの直球が武器のエース、岩本大地選手は「食でも支えてくれる地域の農家には感謝している。勝利で恩返ししたい」と決戦を前に闘志を燃やす。
 
 15日に大阪市内で行われた組み合わせ抽選会後、石岡一高主将の酒井淳志さん(17)は、対戦相手となる盛岡大付高主将の及川温大さん(17)とがっちり握手。「農業系の公立高校が甲子園に出ることはめったにない。他の農業系高校も『甲子園の舞台に立ちたい』と気持ちを奮い立たせられるようなプレーをしたい」と話した。
 

戦う姿 全国に 21世紀枠特別選考委員 作家・あさのあつこさん 


 21世紀枠特別選考委員で、農業高校で奮闘する新米教師の成長を描いた小説『グリーン・グリーン』を本紙で連載した作家あさのあつこさん(64)も石岡一高に熱い視線を送る。

 選考では「文武両道」を重視している。あさのさんは「本来の『文』は、野球以外のことをどれだけ一生懸命学んだかで評価されるべきだ。若い人たちが国の根幹を担う農業を学ぶことは紛れもない『文』だ」と話す。

 才能ある戦力を集める私立高校が優位とされていることに対しては「地元選手だけで強豪私学を破り勝ち進んだ県立の金足農はある意味爽快だった。石岡一にも従来のパターンを覆す起点になってほしい。高校野球の可能性や面白さを見せてほしい」と話す。

 甲子園で戦う農業系の球児に対し「せっかくつかんだチャンス。存分に味わってほしい」とエールを送る。一方で、「彼らが甲子園で戦うこと自体が農業系高校を発信することにつながる。金足農はまさしくそうだった。石岡一の戦う姿を見せて、多くの人たちに農業系高校の存在を示すことで、日本の農業がもっと元気になるきっかけになればと思う」と期待を込める。

 


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