〈どちらにしようかな、天の神様の言う通り〉

 〈どちらにしようかな、天の神様の言う通り〉。幼い頃、迷ったら大抵、この歌で決めた。でも、人生の大半を占める仕事となるとそうもいかない▼来春に卒業を予定する学生の就職活動が始まった。電車の中で真新しいスーツを着た学生を見ると「この子、大丈夫かしら」と母親のような心境になる。職種、年収、休日、どんな基準で仕事を選ぶのだろう▼残念なのはせっかく就職しても、心が折れて辞めてしまう若者が多いこと。学校という温室を出て、社会の冷たい風にさらされ、心と体が痛んでしまうのだろうか。学習塾・花まる学習会代表の高濱正伸さんは「この国は働けない大人を量産している」と手厳しい。幼少期からゲームなど与えられた遊びばかりで野外体験をしないで育つと、没頭する力を養えないという。親が危険を遠ざけ、子の人生にレールを敷いてしまえば「見えないものを見ようとせず、言いたいことを言えない大人になる」と説く▼広島県呉市の藤田美代子さんは日頃の思いをまとめた小冊子「風のささやき」にこう書いた。「学歴や職歴よりも苦歴が宝」。貧困や格差、食料難を生き抜いたよわい91の農村女性の言葉は重い▼求められるのは、学力より苦難を乗り越える知恵と底力ではないか。ここは天の神様に聞いてみたい。

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