[未来人材] 36歳。がん乗り越え、古里で加工販売 富士柿 絶やさない 井上千代美さん 愛媛県八幡浜市

干し柿と4月から販売するセミドライ柿を手にする井上さん(愛媛県八幡浜市で)

 全国有数のかんきつ産地、愛媛県八幡浜市。ここには、もう一つ光る果樹がある。日本で最も大きいといわれる柿「富士」だ。井上千代美さん(36)は規格外品を干し柿などに加工販売する。元々は「実家に戻るつもりはなかった」と言う。大病を機に気付いた古里の魅力を今日も発信する。

 オフシーズンには神奈川県を拠点に薬剤師として働き、二足のわらじを履く井上さん。18歳で大学進学のために実家を出て、波乱の20代を過ごした。「27歳で肝臓がんが見つかって……。働き盛りに衝撃的な宣告でした」。当時から薬剤師で健康には人一倍気遣っていた。23歳の時、婚約者が病に倒れて婚約が破談したこともあり、「たまったストレスのせいだったのかな」

 病に倒れて、「元々好きではなかった」古里の魅力に気付いた。手術後に3カ月休み、帰省すると家族や周囲の支えを痛感した。「自分は柿で育ってきたんだ」

 2016年に「丸京農園」を立ち上げた。約2ヘクタールで実家が生産する「富士」を加工販売する。

 着目したのは生産量の2割ほどを占めていた規格外品。手取りにつなげる方法を模索してたどり着いたのが、干し柿だった。1シーズン1万個をめどに自社サイトを通じて販売。16、17日には伊勢神宮の外宮奉納祭に出展するなど、全国に魅力をPRする。

 地域では中晩かんに切り替える農家が多いが、「富士」を絶やしたくない。課題となる規格外品の多さを、加工品にすることで手取り向上につなげたい。

 まだ地域の農家からの認知度が低い。「あそこに任せてみようやと言われるまで、まじめに作り続ける」と力強く言う。(丸草慶人) 
 

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