パワハラ防止 対話と共感で人づくり

 パワハラ防止を企業に義務付ける時代がやってくる。政府は、職場でのハラスメント(嫌がらせ)を規制し、働く女性の活躍を後押しする一括法案を今国会に提出した。早期成立を求めたい。男社会が色濃く残るJAの職場も無縁ではない。働きやすい職場風土なくして、自己改革の実現はない。

 社会問題化するパワハラ、セクハラの根絶は待ったなしだ。本来、政府の進める「働き方改革」の基本となるのが、誰もが人権を尊重され、働きやすい職場環境の実現だろう。いくら生産性向上や女性の活躍をうたっても、旧態依然のハラスメントを放置していては本末転倒だ。それでなくても非正規雇用の増加、景気の下振れなど労働環境は悪化している。特にパワハラについては、明確な規定や法規制が立ち遅れていた。

 遅きに失した感は否めないが、政府は今月、ハラスメントの規制強化、働く女性の活躍推進を中小企業にも拡大する一括法案を閣議決定し、衆院に提出した。関連する法律の改正案を束ねることで、総合的に施策を推進する狙いだという。

 改正点で注目すべきは労働施策総合推進法に、職場の上下関係によるパワハラを「行ってはならない」と明記したことだ。上司という優越的立場を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えて、部下の就業環境を害することがパワハラに当たると定義付け、こうした行為を戒める。罰則までは見送ったが、それでも前進だろう。

 なによりパワハラ防止策を企業に義務付けることが大きい。今国会で成立すれば大企業は1年後の2020年4月から、中小企業は22年4月から適用される見通しだ。具体的な事例や相談体制の在り方などについては、指針で定めるという。

 やはり問題は実効性だろう。それだけパワハラは日常化し、社会問題化している。都道府県労働局に寄せられる「職場でのいじめ・嫌がらせ」の相談は年々増加し、16年度は7万件を超え、全労働相談の2割強に達している。厚労省のパワハラ実態調査(16年度)によると、3人に1人が、過去3年間にパワハラを受けたことがあると答えている。

 厚労省は、職場のパワハラに該当する行為として、暴行などの身体的攻撃、暴言などの精神的な攻撃、無視や仲間外し、明らかにできない業務を過大に要求することなどを挙げる。この他、個人的なことに干渉し、プライバシーを侵害することもやってはいけない。

 自己改革に取り組むJAグループにとっても職場環境の改善は大きな課題だ。各JAでは内部統制強化の一環で、法令や職務規定の順守を改めて徹底していることだろう。新年度に向け協同組合人としての心構えや人権教育などの研修にも力を入れてもらいたい。特に管理職は威圧でなく「対話と共感」による人材育成を心掛けてほしい。 
 

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