僕の10年後 「褒める」「貯筋」で健康 医師・作家 鎌田實

鎌田實氏

 僕は今70歳。命の時間を意識するようになった。

 いつかお迎えが来るのは仕方ないが、それまではピンピンしていたいと思って生きている。

 例えば、80歳になっても、イラクの難民キャンプに行き、医療が必要な人の診察をしたり、健康づくりをサポートしたい。日本は災害が多い国だから、すぐに被災地に飛んでいき、困っている人たちの気持ちに寄り添って、早く日常を取り戻せるように応援したい。

 これが僕の思い浮かべる10年後。これを実現するには、現在の生活の仕方が大切だと思って生きている。

 といっても、苦しい修行の日々を送っているわけではない。僕のモットーは楽しむこと。今年の冬は大好きなスキーに明け暮れた。
 

体づくり楽しむ


 春から秋にかけてはウオーキング、テレビを見ているような時間がある時はスクワットやかかと落としをしている。これらも、スキーを楽しむための筋肉づくりだと思うと、楽しくできる。

 脳内神経伝達物質のドーパミンは、快感ホルモンと呼ばれている。一生懸命に努力して成果が出た時や、誰かに褒められたりした時、このドーパミンが出る。人はこの快感に味をしめ、自らの意思を行動で示すことができるのだ。

 だから、子どもや孫のいいところを伸ばしたければ、褒めて育てることだ。

 快感ホルモンの出やすい人間になれば、おのずと長所や特技が伸びていく。自分が健康習慣を身に付ける時にも、自分を褒めることが大事だ。「今日は8000歩以上歩けた」「きちんと野菜を食べた」など、小さなことでも自分を褒めれば、それが明日の力になる。
 

野菜は「命の源」


 僕は、家系に糖尿病の人がいるので、糖尿病にならないように、野菜をたくさん食べるように心掛けている。朝は手作りの野菜ジュースに牛乳やヨーグルトを入れて飲んでいる。野菜は命の源だと思っている。

 タンパク質もしっかり取るようにしている。日本人はタンパク質が足りない人が多い。特に高齢者はタンパク質が不足している。高齢者のタンパク質不足は、骨や筋肉が痩せてしまい、全身のフレイル(虚弱)を招いたり、認知症や要介護の原因になったりする。

 僕は、毎年スキーを楽しめる筋力づくりとして、タンパク質が豊富な卵や肉、魚、納豆、ヨーグルト、チーズなどをしっかり食べるようにしている。特に、ゴールデンタイムといわれる運動後30分以内は、味付き卵を食べている。

 こうやって筋肉を鍛える「貯筋」は、80歳でイラクの難民キャンプに行ける体づくりにつながっている。

 死ぬまでピンピンしていたいというのは誰もが願うことだろう。快感ホルモンを出しながら、日々を楽しみ、コロリと逝くPPK(ピンピンコロリ)。それが実現できれば最高である。 
 

 かまた・みのる


 1948年東京生まれ。長野県・諏訪中央病院名誉院長。内科医として地域医療に尽力。東北の被災者支援、チェルノブイリやイラク難民キャンプへの医療支援にも取り組む。著書は『イスラム国よ』他、多数。 
 

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