国会 農政論議 有権者に判断材料示せ

 農政を巡る国会論戦が本格化してきた。だが野党は攻め切れず、政府は受け身の答弁が目立つ。統一地方選と参院選が重なる12年に1度の政治決戦の年で、平成を締めくくる国会である。与野党の論議を活発化させることで対立点を明確にし、投票に向けた判断材料を示すことが必要だ。

 政府・与党は選挙への影響を避けるため、目立った対決型法案の提出を見送っている。農林水産関係の政府提出法案も、農地中間管理事業法改正案、国有林野管理経営法改正案、農業用ため池管理・保全法案(仮称)など4本に絞り込む方針で“安全運転”で国会を乗り切ろうとする思惑が透ける。とはいえ、与野党対立の論点は多い。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は12日の議会公聴会で、日米貿易協定交渉を巡り「農産品などに関する協議はより早い段階で行いたい」と述べ、農業分野の交渉を先行させたい意向を示した。日本は、過去の経済連携協定(EPA)で約束した内容が最大限とした日米共同声明を前提に、農業分野の先行には応じない構えだが、毅然(きぜん)とした姿勢が求められる。

 環太平洋連携協定(TPP)発効後、オーストラリアやカナダなどからの牛肉輸入量が前年より増えていることも懸念材料だ。吉川貴盛農相は輸入業者の通関の繰り越しなど「特殊要因」によるもので、「国産牛の枝肉卸売価格に影響を与えているとは考えていない」との認識を示す。

 だが、乳用種の牛肉価格の上昇は、酪農家が雌雄判別で雌牛確保を優先し、雄の出生頭数が減っているためで、輸入牛肉に市場を奪われる恐れはないのか。国産価格への影響は今後もないと言い切れるのか。中長期的な検証が求められる。

 食料・農業・農村基本計画見直しは議論さえ始まっていない。農水省は、食料・農業・農村政策審議会の企画部会で18日から農家らへの意見聴取を始める予定だが、本格的な議論開始は秋ごろになる見通しだ。

 野党各党が国会に提出した主要農作物種子法(種子法)の復活法案は、ほとんど審議されないまま4月には丸1年を迎える。見直し2年目で正念場を迎える米政策も、議論が深まらない。

 自民党は統一地方選の政策集に、農協改革は「JAグループの自己改革を後押し」し、JA准組合員の事業利用規制の在り方は「組合員の判断に基づくものとする」と盛り込んだ。だが、十分な議論もないまま農協改革などを進めたのは政府の規制改革推進会議であり、同会議などを利用する官邸主導の政策決定が変わらない限り、強引な議論が再燃しかねない。政策決定の在り方をどうするか、根本的な問題が宙に浮いている。

 いずれも与野党が真っ向から激論を繰り広げるべきテーマだ。争点を明確化することが、選挙イヤーに課せられた民主主義の責務ではないか。 
 

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