キクイモ産地化へ 機能性成分「イヌリン」 血糖値抑制 ダイエット 需要激増 福岡県築上町

築上町きくいもクラブが出荷するキクイモ。見た目はショウガに似ている(福岡県築上町で)

 過疎化が進む福岡県築上町で、町を挙げたキクイモの特産化が動きだした。芋に含まれる成分にダイエットや血糖値抑制の効果が期待できることに注目。先んじて作っていた農家をリーダーに、昨年は全国でも珍しい生産者組織が発足した。栽培面積は既に西日本最大。町やJAも支援し、地域ぐるみで盛り立てる。目指すは“キクイモ王国”だ。(金子祥也)
 

生産者組織発足 効果実証に住民参加


 キクイモはキク科ヒマワリ属の多年草。菊に似た黄色い花を付け、塊茎が食用になる。町内では4月に種芋を植え、11月上旬から翌年3月いっぱい出荷する。見た目はショウガに似ているが、味はゴボウに近い。種芋さえ植えれば勝手に育つといわれるほど簡単に栽培できる。全国に小さな産地は点在するが、大きな需要がなく、買えるのは直売所ぐらいだった。

 このキクイモが昨年からブームを巻き起こしている。芋の機能性成分で水溶性の食物繊維「イヌリン」が豊富に含まれていることが、広く知られるようになったからだ。佐賀大学機能性農産物キクイモ研究所の松本雄一所長によると、血糖値の抑制やダイエット効果が期待できる。ビートたけしさんが司会を務める健康番組などが取り上げ、需要が激増。製薬メーカーや百貨店、カフェやラーメン屋までもがメニューに取り入れ始めた。

 こうした中、いち早く産地化に乗り出したのが福岡県築上町だ。過疎化が進む中山間地で、高齢化による耕作放棄地拡大が問題になっていた。育つ場所を選ばず、管理の手間もかからないキクイモは格好の品目だった。昨年定年退職した町内の夫妻は農業の素人だったが、同町で20年近く耕作放棄地だった水田で栽培に成功した。「キクイモは草丈が高く、雑草が生えづらい。放置していたときより、むしろ管理は楽になった」と喜ぶ。

 ただ、キクイモは栽培技術が確立されておらず、登録農薬もない。本来なら安定した収量を得るまで時間がかかるが、同町にはブームの前からキクイモを栽培していた農家、中安洋子さん(60)がいた。長年の栽培で得た知見を共有すれば、他の農家も早く習熟ができる。昨年秋には中安さんを会長に生産者組織「築上町きくいもクラブ」を設立。集荷して直売所で売る他、製薬メーカーとの取引も決まっている。現在の栽培面積は4ヘクタールで西日本最大。先駆者がいる利点を生かし、トップ産地の道をひた走る。

 町役場や地元のJA福岡京築も、キクイモ特産化の動きを支援する。町役場は「イヌリン」の効果を実証しようと、町民自ら臨床試験に参加。40人が4週間キクイモを食べて、尿検査で数値を調べた。腸内環境が改善するなど、試験結果は200人が参加したシンポジウムで紹介。町は「生産者以外の町民にも興味を持ってもらえた」(産業課)と手応えをつかむ。

 JAはガソリンスタンドと購買店舗の跡地を、同クラブが集出荷に使うスペースとして提供。賃料も格安に設定した。相談を受けてJAの本部と交渉した上城井支店の他力勉支店長は「特産化のため、少しでも力になれれば」と話す。

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