地域運営組織 JAと共に課題解決を

 将来にわたって農山村を守るためには農家、JAだけではなく、多様な団体と連携することが欠かせない。JAは住民を主体とした「地域運営組織」との連携を強めるべきだ。まずはどんな協力ができるのか、声を掛けることから始めてみよう。

 総務省が19日発表した報告書によると、暮らしを守り地域の課題解決に取り組む住民組織は全国で4787に上ることが分かった。回答した1722市区町村のうち4割を超える711市区町村で結成している。高知、兵庫、岡山では7割以上の市町村で組織があり、農山村で持続可能な暮らしを営むために重要な役割を果たしている。

 活動内容は、高齢者の見守り、住民との交流などの生活支援から空き家の活用や里山再生といった地域資源の活用、防災訓練、役場の窓口代行など実に幅広い。

 3月に開いたJA全国大会では、商工会や生協、漁協など他の協同組合などと共に、地域運営組織と連携する重要性を決議した。高齢化や里山再生といった地域の課題を解決するには、JAだけではなく、多様な団体と連携することが欠かせない。JAは年々増えている同組織と意識して連携し、事業を展開していくべきだ。

 この組織の強みは、地域の実情を知り、地域おこし協力隊や移住者、都市と農山村を行き来する関係人口と接点が多いことだ。多彩な活動内容は、総合事業を進めるJAと合致する点が多く、新事業を生み出すきっかけとなる。

 先進を行くのは滋賀県のJA滋賀蒲生町だ。東近江市の地域運営組織「蒲生地区まちづくり協議会」と環境、食や農業、祭りなど幅広い分野で連携する。イベントにはJA役職員総出で参加し、食材提供などJAができることは何でも協力する。地域貢献ではなく「補完し合う関係」(谷口信樹組合長)が特徴だ。援農や特産品開発などでJAが同組織に支えられている場面も多いという。

 こうした組織との連携は、目先の利益だけを考えたり、地域貢献とだけ捉えていたりするとうまく進まない。関係はあくまで対等で、互いに恩恵をもたらすものだ。実際、JAが同組織の話し合いに参加することから始めたところ、集落全員が准組合員になったり、出荷量が増えたりした事例もある。

 組織化は、JAのガソリンスタンドや店舗が閉鎖することを契機に始まるケースが多い。暮らしを支える店舗経営からJAが撤退すれば、住民とのあつれきも生じかねない。だが、住民がJAから「継業」という形で店舗を受け継げば、JAが流通を支援したり店舗の家賃を補助したりと、閉鎖してもできる支援はある。

 JAが“黒子”となって農山村を支え、住民からも組合員からも必要とされる組織となる。さまざまな連携によって、新たな展望が見えてくるはずだ。 
 

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