食肉関税下げ 輸入増の行方に注視を

 環太平洋連携協定(TPP)、日本と欧州連合(EU)との欧経済連携協定(EPA)発効に伴う相次ぐ関税引き下げで食肉の輸入動向に注目が集まる。1月は牛肉輸入が急増したが、多くは税率の変わらない輸出大国分で、急激には増えていない。ただ“防波堤”は徐々に低くなるため輸入増は確実だ。動向に注視を怠ってはならない。

 TPPは昨年末、日欧EPAは2月にそれぞれ発効し、関税引き下げで食肉の輸入増が心配されてきた。TPPは1月から実質新税率が適用され、38・5%の牛肉は11%ほど引き下げられた。

 ただ、オーストラリアは、日豪EPAで5年前から先行して関税が引き下げられ、今回は大きな変動がなかった。1月の牛肉輸入は前年より4割増えたが、増加分の7割は税率の変わらないオーストラリアと米国が占め、残りは関税が大きく下がったカナダ、ニュージーランドなどだった。

 カナダとニュージーランド2カ国分のシェアは1割に達し、長年、輸入牛肉の9割以上を占めてきたオーストラリアと米国に、わずかながらくさびを打ち込んだ。

 特に今回カナダからの輸入が増えたのは、米国が圧倒的シェアを持つ焼き肉用などの冷凍バラ肉。ニュージーランドが入り込んだのは、オーストラリアが独占する牛丼用などの冷凍「その他」で、輸出国間の競争激化は必至だ。

 日本人の好きな内臓肉の牛タンは、関税率が半分に引き下げられ、この分野でもカナダとニュージーランドがシェアを伸ばした。

 一方、輸入豚肉は従量税と従価税が引き下げられた。従価税は半分に引き下げられ、従量税は1キロ125円に引き下げられた。これまでは、安い価格で輸入しても高い従量税がかかるため、同524円ほどで輸入し、同23円ほどの従価税を払うパターンが基本だった。

 今回の関税引き下げでは、多少の変動はあっても、急激な輸入増を引き起こすことはないとみられる。ただ、需要は景気動向や為替にも左右されるだけに、予断は許されない。

 牛肉関税の引き下げは1991年からの牛肉自由化から始まる。2年間で20%引き下げられ、第2弾のウルグアイランド(多角的貿易交渉)合意に伴って5年間で10%以上も下がり、輸入が急増した。

 これに対し今回は、15年かけて小幅に低下するため、影響が一挙に出にくいのが特徴だ。だが、15年後の税率9%になるまでに、輸入動向が大きく変わるのは確実だ。豚肉も、5年後には従量税が1キロ70円に引き下がり、好きな部位を選んで輸入できる仕組みとなる。

 過去の関税引き下げと違って、じわじわと影響が出てくる協定のため、常に国内対策の在り方も含めて、注視し続けることが重要だ。 

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