食育の推進 課題解決へJAの出番

 農相が会長を務める食育推進会議の専門委が、2019年度から新たな食育推進基本計画(4次)の取りまとめへ議論を始める。課題は、朝の欠食率や学校給食の地場産使用率などで数値が悪化していること。改善へJAも積極的に関わるべきだ。

 食育推進基本計画は、国の食育に関する方針や目標を定めている。社会情勢の変化に合わせて5年ごとに見直す。現行の計画(3次)は16年度から始まり、18年度は中間年に当たる。

 計画では、食育に関心を持つ国民の割合を75%(15年度)から90%以上(20年度)とするなどの「総合的な目標」に加え、若い世代や多様な暮らし、健康寿命の延伸、食の循環や環境、食文化の継承に向けて食育を推進する「重点課題」を18項目設定した。

 うち、17年度までに達成できた重点課題は「地域での共食回数」「中学校の学校給食実施率」「食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業の登録数」の3項目だけだった。

 問題は、6項目で目標を設定した15年度当時より数字が悪化していることだ。例えば「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」は43%から39%(17年度)に、「地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法などを継承し、伝えている国民の割合」は42%から38%に落ち込んだ。一人親や共働きなど生活様式が多様化する中で、食育を実践することが年々難しくなっていることを物語る。

 同計画の基となる食育基本法では、JAグループなど農林漁業に関する団体も推進に努めるよう求めている。

 JAは、どう取り組めばいいのか。朝の欠食ゼロに向けて滋賀県のJAおうみ冨士は、草津市の立命館大学びわこ・くさつキャンパスで学生に100円朝食を提供している。メニューは地元の米や野菜を使ったカレーと、スープセットの2種類。さっと食べられる手軽さが人気で朝食の習慣づくりを支える。

 学校給食での地場産率向上では、JA東京むさしが東京都小平市と連携。JAが出荷調整と配送を担うことで、10年ほど前に3%ほどしかなかった利用率は17年には29%まで向上した。これらの事例は、JAが食育の現場で推進役を果たしていることを示している。

 JAに求められるのは①行政や学校、地域など多方面と連携して幅を広げる②単発のイベントではなく継続する③ニーズに応じた農産物や知識などを提供できるよう事前にしっかり調査する④消費者に産地の思いを伝える役割を果たす──ことだ。

 こうした取り組みを実践することが食育の課題解決に加え、JAや農業ファンの獲得につながる。教育現場で地元の農産物を食べることで、卒業しても地元産を選んでもらえる好循環が期待できる。新年度以降の活動の広がりに期待したい。

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