猿の位置情報共有 SNSでリアルタイム 追い払い・捕獲確実に 和歌山県印南町

スマートフォンで航空写真に猿の位置を書き込む(和歌山県印南町で)

 和歌山県印南町の農家が、猿害対策としてインターネット交流サイト(SNS)の一つである「LINE(ライン)」で、群れの居場所を共有し、追い払いなどの取り組みに効果を上げている。地域住民も鳴き声や目撃の情報を即時に投稿することで、電波発信機調査法(テレメトリー法)に基づいた群れの居場所の把握が強化できた。猿の接近に合わせたり、先回りしたりした畑の見回りや追い払い、わなの設置で被害を防ぐ。また、鳥獣害対策に欠かせない集落ぐるみの取り組みにもつながっている。

 同町では、農家や猟友会、JA紀州、印南町や県の担当者らで、町鳥獣被害防止対策協議会を組織する。山間部にある印南原地区はとりわけ鳥獣害がひどく、同町の2017年度の調査によると、被害金額は360万円で被害面積は1ヘクタールだった。猿による被害が3分の1を占めた。

 テレメトリー法の活用は18年2月に始めた。受信機3台を農家や県職員が持ち、群れの移動を把握しながら、農家らが煙火で追い払ったり、わなを仕掛けたりした。当初は電話で連絡を取り合っていたが、6月にスマートフォンアプリのLINEによる情報共有を始めた。

 協議会会長で花き果樹農家の尾曽紀文さん(58)ら印南原地区の農家仲間が始めた。グループ「印南原モンキーアラート」を立ち上げた。これに行政関係者やJA紀州、被害に悩む地域住民らが加わり、19年3月には約40人に増えた。スマホを持たない農家は家族が代わりに参加する。

 LINEには、メンバーの誰かが猿の居場所を察知するたびに「反応あり」「鳴き声を確認」「煙火で追い払いますか?」などとリアルタイムでやり取りが進む。尾曽さんは「猿の居場所が視覚的に分かり、情報がリアルタイムなので追い払い活動が確実になった」と実感する。

 LINEの利用で対策へのハードルが下がり、地域全体で連帯感が出てきた。同町産業課は「効率的な追い払いと猿の捕獲で被害は減っている」とみて、19年度に対策後の被害調査をする予定。 

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