[未来人材] 33歳。 原木シイタケ、地の利生かす きっかけは味の濃さ 程塚健さん 神奈川県川崎市

住宅街で原木シイタケの栽培に取り組む程塚さん(神奈川県川崎市で)

 程塚健さん(33)は、団地が立ち並ぶ神奈川県川崎市の住宅街で、原木シイタケを生産する。首都圏で生産する地の利を生かして、販路の拡大を進めている。

 専門学校を卒業し、自動車販売店で整備士として4年間勤務した。自動車販売店の経営を夢見ていたが、日本各地を旅する中で出会った、移住して民宿を営むなど土地を利用して生きる人に憧れた。24歳の時に農家になることを決意。祖母から約20アールの畑を引き継ぎ就農した。

 原木シイタケの生産は、趣味の登山をしている時に味の濃さに魅了されたのがきっかけだった。山林の荒廃を防ぎたいという思いから、山梨県の間伐材2000本を毎年仕入れる。

 シイタケ栽培は初心者だったが、山梨県の種菌会社が開いた勉強会に参加し、経営ノウハウを学んだ。また、地元の気候に合ったきのこ作りを学ぶため、神奈川県小田原市の生産者の元にも通って、施設設計などを教わった。

 妻の真紀さん(33)は、結婚直後に就農を突然切り出されて動揺した。「意志の固さに、もうついていくしかないと思った」と振り返る。だが、農業を始めていいこともあった。整備士として勤務していた頃は帰宅が夜遅かったが、農業を始めてからは子どもたちとの時間も取れるようになったことだ。

 10アールに2棟が建つ施設には、約1万本のほだ木が並ぶ。収穫は夏場の気温の高い時期を除いて行う。毎朝4時ごろから施設を回り、ほだ木を入れ替えるなどの作業を1人でこなす。

 就農した3年間は、苦難の日々だった。品種の選定を誤り収量が少なかったり、リヤカーを引きながらシイタケを売って生計を立てたりしたこともあった。シイタケを使った料理を作ってイベントで試食販売もした。口コミやテレビ出演をきっかけにJAセレサ川崎直売所や近隣の飲食店などへの販売を始め、今では指名買いされるまでになった。

 程塚さんは「気候に合わせて良質なシイタケを作れるようなノウハウを養いたい」と話す。6次産業化も視野に入れる。将来は、その場で取れたてのシイタケが食べられる店や、原木シイタケのオーナー制度を始めるのが夢だ。(木村泰之)
 

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