新紙幣 ミツマタ産地「国産回帰を」 キャッシュレス化心配

 紙幣のデザインが2024年度に刷新されることが発表され、紙幣原料のミツマタ産地から期待の声が高まっている。紙幣原料の多くを安価な外国産が占める。「国の顔は国産で」と栽培を始め、獣害に強く、観光資源に育ったミツマタ。産地は紙幣刷新を起爆剤に、一層の振興へ意気込むとともに、国への支援を求めている。

 「紙幣は日本の顔。新紙幣は国産に回帰し、最低5割は国産を使ってほしい」と、松江市の福頼貴司さん(64)は要望する。紙幣原料の国産化を進めようと、3年前に栽培を始め、1万5000本を植樹。ミツマタはジンチョウゲ科で、3月には小さな黄色い花が一帯を埋め尽くした。幻想的な風景が広がり、今年は400人が観光に訪れた。新たな観光資源として遊歩道整備、夜のライトアップも計画し、地域ににぎわいを生む考えだ。

 徳島県那賀町の林家ら約20人でつくる木沢林業研究会は、ミツマタが鹿の食害を受けないことに着目。13年から栽培し、25ヘクタールに拡大した。新紙幣を喜ぶ一方、同研究会の亀井廣吉会長は「紙幣を使う人が少なくなっている」と心配する。政府は、25年にキャッシュレス決済の比率を40%に高める目標を掲げるからだ。

 同研究会に所属する林家や地域住民らが集まって収穫作業に精を出し、今年は9ヘクタール分で白皮1トンの出荷を計画する。林業は人が集まる作業が少ないが、ミツマタの作業はにぎやかで、亀井会長は「住民のコミュニティーの場になっている。作業が楽しい」と、活性化につながっているという。

 杉やヒノキと比べ、鹿の食害がないミツマタは栽培しやすいメリットもある。ただ、造林補助金の対象外のため、国の支援を訴える。

 日本特産農産物協会によると、17年のミツマタの白皮生産量は9トンで、10年前の10分の1にも満たない。

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