どうする? 食品ロス 収益向上へ“売り切る”徹底 愛媛・JAおちいまばり直売所

袋詰め一つでも「農家の試行錯誤が見える」と話す木原課長(愛媛県今治市で)

 食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減に向け、各地で対策が広がってきた。農水省と環境省の12日の発表では、2016年度の食品ロスは推計643万トンに上った。愛媛県JAおちいまばりの農産物直売所さいさいきて屋では、手に取ってもらえる袋詰めを徹底し、売れ残りを出さないような対策を進める。食品業界では、気象データを基に商品の需給を予測し、受注と生産の誤差をなくす取り組みを進める。(鵜澤朋未)
 

袋詰め、陳列… 光る工夫

 
 “売り上げナンバーワン”ではなく、“売れ残りゼロ”を目指すさいさいきて屋。直売所に、季節の果実のケーキなどが楽しめるサイサイカフェと、地域の農産物を食材として提供する彩菜食堂を併設する。同直売所では加工品向けに活用する農作物は、農家から割引なしの値段で買い取っている。

 JA営農販売部直販課の木原嘉文課長は「ロスが出る前の段階に力を入れて売り切ることで農家収益が上がれば、農家の作付け意欲も向上する。JAとしての本業は、農家所得を向上させること」と言い切る。

 買ってもらえる店づくりにこだわり、売れる選別、袋詰め、置き方を追求する。「この詰め方が売れた」と聞くと、すぐ詰め方を見直したり、品薄の時期を狙ったりするなど、農家が直売の動向を読み解くようになっている。直売所は陳列を整頓する他、店外へのセールスといった後方支援を担う。

 閉店間際の値引きセールは一部の総菜を除いて農産物では一切行わない。「何が原因で売れ残ったのか、農家自身が認識しないと改善につながらない」と木原課長。徹底して生鮮農産物の販促にこだわり、食品ロス対策に力を入れる。

 出荷されたものは売り切る同直売所。畑でどれだけのロスが出ているかは分からない。今後は、畑で取れたものを一つでも多く売っていきたいと考える。

 豆腐メーカーの相模屋食料(群馬県)は、日本気象協会の気象データを活用し、需要予測を行う。気温に影響を受けやすい商品として夏は「寄せとうふ」、冬は「焼きとうふ」を対象に、過去の売り上げと気象データを組み合わせ、需要予測を「豆腐指数」として確立させた。

 指数を使う前と比べ、予測の精度は30%向上し、受注数量と生産数量の誤差は0・1%を維持した。この冬には、別の商品の生産計画にも指数を活用。経営の向上にもつながるとして同社は「気象データの活用が食品業界全体で広がってほしい」と期待する。

 気象データを活用した商品需要予測は、日本気象協会が企業向けのサービスとして今夏までに提供を始める見通し。実証段階で、小売業では雪による客足の減少を予測し無駄な発注を回避したり、製造業では残暑を予測し飲料の増産で売り上げ増加につなげたりと効果が表れている。
 

外国人選手向けポスター 啓発で効果 4割減 東京五輪へ農水省検証


 農水省は、2020年東京五輪・パラリンピックを環境に配慮した持続可能な大会とするため、国内スポーツイベントで外国人選手を対象に食品ロス削減の手法を検証した。飲食会場でポスターなどを使い、食べ残しを減らそうと啓発したところ、食べ残しは最大で4割減少。今後、事前キャンプ地やホストタウンで結果を活用できるよう、地方自治体や飲食事業者に食品ロスを計測するノウハウや啓発の手法などを周知していく。

 大規模なスポーツイベントで食品ロスに関する調査を行うのは初めて。東京五輪を控え、実証実験を行った。18年秋に横浜市で開かれた女子世界バレー選手権大会で食事を提供するホテルの協力で、ポスターや卓上POP(店内広告)で食べ残しを減らすように英語やスペイン語など多言語で啓発した。

 大会期間中、啓発前を基準日として1人当たりの食べ残し量は20・6グラムと計測。その後、ポスター、卓上POPを掲示した結果、食べ残し量は最大で12・5グラムまで減った。また、選手に行ったアンケートでは、ポスターなどでの食品ロス対策は有効であると9割から支持を得られた。

 一方、調査では食べ残した量よりも大皿に残った料理の廃棄量が多く、同省は「食べる側への啓発も重要だが、作る側が適正量を予測し、維持することが食品ロス削減には重要だ」と指摘する。
 

おすすめ記事

経済の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは