熊本地震3年 のり面、水路 復旧6割 農地は99・7%

 震度7を記録した熊本地震の発生から3年を迎えた。関連死を含めた犠牲者は熊本、大分両県で273人、この1年で6人増えた。依然として1万6000人以上が仮住まいで暮らす。農業の復興も道半ばだ。熊本県によると復旧事業の対象農地の99・7%で工事が完了した一方、農地を支えるのり面や水路、農道などの工事の完了は6割にとどまる。

 県農林水産政策課によると、農水省の災害復旧事業で農地の工事を申請した農家は1万5503戸。このうち、1万5455戸が3月末までに工事を終えた。一方、のり面、水路や農道などの農業用施設の災害復旧事業の工事件数は4937件で、そのうち3月末の完了率は3014件にとどまる。被災前と同じように、営農できるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。

 今も仮設住宅などの仮住まいで暮らす人は7304世帯、1万6519人(3月末時点)
 

JA熊本中央会 宮本隆幸会長に聞く 農産物の船輸送検討 震災乗り越え営農振興


 JA熊本中央会の宮本隆幸会長に、発生から3年がたった熊本地震を乗り越える営農振興策について聞いた。宮本会長は、災害時にも農産物を安定的に消費地へ送れるよう、行政や近県JAグループと連携し、船便による代替輸送を整備する考えを示した。

 ──熊本地震で直面した課題は何でしたか。

 輸送の問題が浮き彫りになった。農作物を市場まで届け、生産者に代金を支払えなくては安定的な農業経営には貢献できない。通常、県内から東京・大阪への輸送手段はトラックによる陸送だが災害時は滞りがちになる。そのため緊急時には船を借りて大分、宮崎の品と一緒に運ぶ体制を築く。

 船便だと運ぶ時間は長くなる。品質を落とさない梱包や荷姿を今後、検討していく。各県行政やJAグループと詰めの協議をしている。

 ──昨年、JAを集め農業経営危機突破大会を開きました。狙いは。

 相次ぐ災害、TPP発効など農業の環境が大きく変化している。農家と共に危機感を持ち、打開していきたいと考えた。持続的な農業に重要なのは安定だ。良い農産物を一定量、変動の小さい価格で消費者に提供する。価格が高過ぎれば需要は輸入品に流れ、安いと農業経営が行き詰まってしまう。被災時も含めバランスの良い状態を保つことが必要だ。

 ──現場は労力不足です。復興への影響は。

 選果場のパート従業員などで賃金が上がっているが価格転嫁が難しい。復興が停滞しないよう、効率的な働き方を追求していく。農家は人件費が高まれば大規模化には簡単に踏み切れない。国は農業の規模拡大を求めるなら、この問題に正面から向き合うべきだ。
 

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