政府備蓄米 需給安定へ達成不可欠

 政府備蓄米の取り組みが足りない。主食用米の需給と価格安定に向けた年間枠(20万9140トン)達成まで、あともうひと踏ん張りが必要。JAグループに加え、商系集荷業者の推進が求められる。

 2019年産備蓄米入札は後半に突入した。第5回までの累計落札量は約16万トン。前年を上回ったが、年間枠は5万トン近く残る。都道府県別枠が配分された32道県で、枠を消化したのは9県にとどまる。

 伸び悩みの要因は三つ。一つ目は入札序盤の出遅れだ。近年で全量落札された年は、既に2回目で年間枠の9割強に達した。だが今年は同時期で5割未満と動きが鈍く、積み増しが迫られている。

 国は備蓄米の推進へ、19年産年間枠の全量を、比較的高い価格で落札が期待できる県別枠に割り当てた。実際の落札価格水準も前年産以上とした。さらに5回目以降は、入札者が集荷した米から備蓄米に仕向ける数量を決められるようにし、県別枠を超えても一般枠で応札できるよう見直した。産地の要望を踏まえた対応で評価できる。ただ、制度の改善点を現場へ周知するのが遅かった。

 二つ目は、主食用米取引における事前契約の存在だ。産地が米卸などと交わす複数年契約を含めた事前契約は「全体需給を均衡させ、需要に応じた米生産へ最も効果的な手段」(農水省)と導入が広がった。近年の集荷苦戦や作柄変動の懸念も重なり、備蓄米への仕向けを増やす余地のない産地もある。

 三つ目は、商系集荷業者への働き掛けだ。JAは米取引の主翼を担うが、それでも集荷量は国内流通量の5割程度だ。備蓄米では商系へも期待がかかるが、業者は「主食用米を優先しており、大幅な積み上げは難しい」とみる。国が展開するキャラバンはJA関係が中心で、商系を含め、くまなく推進できているのか検証が必要だ。

 19年産は例年以上に全量落札が必要不可欠だ。国が生産数量目標の配分をやめ、産地が需要に応じた生産を進める米政策は、転換2年目の今年産が正念場となる。米消費の落ち込みが加速し、主食用米の作付けを絞らざるを得ない局面だが、主産地の大半は前年産並みに作付ける見通しだ。豊作となれば、需給が大きく緩和しかねない。環太平洋連携協定(TPP)で輸入米の取引枠が増えたことも、需給の不確定要素となる。

 18年産米は、産地と卸との相対取引価格や小売価格は前年産並みで推移するが、15年産から続く米価の上昇傾向に陰りが出始めており、警戒が必要だ。

 備蓄米の入札は6月末まで続く。枠全量の達成へ手綱を緩めてはいけない。米政策の転換後も、米の需給と価格の安定を掲げる食糧法は残る。JAと商系双方には、需給の安定に向け、一層の奮起を求めたい。主食用米の生産販売を安定軌道に乗せる鍵となる。 
 

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