酪農版働き方改革 省力化し休みを取ろう

 中央酪農会議が実施した全国の酪農家の経営実態調査によると、この10年で経営主の年齢と後継者不在の割合が上がり、深刻な労力不足に陥っている。こうした環境でどのように経営を切り盛りするか。個々の経営環境に対応し、ゆとりある働き方を考えたい。

 調査では、経営主が50歳以上で後継者がいない経営体は、北海道で20・2%、都府県で35・1%に上った。10年前と比べ、それぞれ7・9ポイント、7・3ポイント増えた。経営主の平均年齢も北海道で1・6歳、都府県では3・1歳上昇。世代交代が進まず高齢化していることが分かる。

 国内全体で少子高齢化が進み、労働力不足はどの業種でも顕著だが、特に農業は他産業に先行する。今回の調査でも、生乳生産を維持・増加する上での「最大の障害は」との問いに、北海道で最も多く挙げられたのが「労働力不足」。26・2%がそう答えた。都府県は「経営主の高齢化」が30・7%でトップだったが、次いで「労働力不足」が27・5%となった。

 「酪農は休めない」というイメージが強い上、労力不足のしわ寄せもあってか、年間休業日数は今回の調査でも少なかった。最も休みが取れている経産牛150頭以上の大規模層で見ても、北海道で23・8日、都府県で38・2日。一般的な年間休日数は平均120日程度なので、かなり少ない。後継者に魅力を感じてもらうには、まずは労働面の改善が必要だ。

 年間休業日数の中には、傷病による休業も少なからず含まれている。北海道の経産牛75頭以上100頭未満の経営層では、年間休業日数15・5日のうち、傷病による休業日数が約半分の6・7日を占めた。病気にならない限り休めない、または、しばしばけがをする環境にある、と受け取れる。休みが取れず、ゆとりがなくなり事故につながっている恐れもある。1日当たりの搾乳に関わる作業時間は、経産牛75頭以上の大規模になると、経営主より配偶者の方が長い。女性にも働きやすく魅力ある職場にしていく必要がある。

 労力不足を補う手だてはいくつかある。発酵混合飼料(TMR)センターやコントラクター(農作業受託組織)など、作業を経営外に委託する取り組みは各地で生まれている。経営内でも搾乳ロボットや牛の行動量監視システムなど省力化機器が開発されている。搾乳牛放牧にも関心が集まる。酪農を取り巻く環境は変わっている。

 雇用を導入するか、今後何年続けられるかなど置かれた環境によって、目指す方向性によって労力不足への対応は違ってくる。自身に適した対策を考えるのが経営判断だ。

 政府の働き方改革が話題となる中、健康を守るためには軽労で省力的な仕組み作りが重要だ。27日からの10連休、若者が帰省する経営体もあるだろう。この時期に将来の労力対策を考えたい。 
 

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