一説では、〈才能におぼれず

 一説では、〈才能におぼれず、使い古して先の丸くなった錐(きり)の境地を目指せ〉との意味が込められていた▼茶聖千利休の名前である。安土桃山時代に茶道という日本独特のお茶文化を広めながら、権力者豊臣秀吉と対立し切腹に追い込まれた。わびを極めた茶人の誇りは、名前のように丸くなることを許さなかった。茶道の奥義を求め美へこだわったいちずさは、直木賞作『利休にたずねよ』(山本兼一著)に描かれた。きょうが命日である▼「人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け」。利休が詠んだとされるこの“名言”は、相場の格言としても知られる。「相場でもうけるなら人と逆の投資行動をとれ、利益が出るうちに売買せよ」と、「逆転の発想」の教えであると聞く▼「川根茶の日」にリーフ茶を楽しむ。静岡県の川根お茶街道推進協議会が、立春から数えて「七十七夜」となることの多い4月21日を記念日とした。南アルプスを源流域とした大井川水系の恵まれた環境と茶業農家の絶え間ない努力が、日本屈指の銘茶を作り上げた。香りが高く、甘味と渋味のバランスに秀でる。産地では、新茶シーズンを迎える日と位置付ける▼おいしいお茶を味わい、利休の一徹さを偲(しの)ぶ。日々、右顧(うこ)左眄(さべん)する人生に反省を込めながら。

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