平成の野菜 パクチー 令和でも…人気継続 あの香り病みつきに

土にこだわりパクチーを栽培する香月さん(右)(福岡県久留米市で)

流行、代表、 定着の3冠 タキイ種苗が調査


 平成の野菜はパクチー。そんな結果が、種苗メーカーのタキイ種苗が実施したアンケートで出た。平成の30年間に「流行した野菜」「代表する野菜」「定着した野菜」の全てのランキングでパクチーが1位を独占。新元号「令和」での流行予想でも、スプラウト(野菜類の新芽)に続きパクチーは2位につけ、人気はまだまだ続きそうだ。(木原涼子)
 

種子業者増え品種も多様化


 セリ科の一年草、パクチー(コリアンダー)は独特の香りを持つ。タイ、ベトナム料理では定番で、スープやサラダなどに入れて食べるのが一般的。日本国内でも近年、パクチー料理の専門店が相次ぎ、パクチー愛好家を「パクチスト」と呼ぶなどブームが起きた。

 平成の野菜ランキングでは、「流行」「代表」「定着」の3部門全てでパクチーが首位を独占。2位がアボカド、3位がフルーツトマト、4位がズッキーニだった。

 新元号に流行する野菜では1位がスプラウト、2位がパクチーと、令和になっても人気が継続するとの予想だ。3位がフルーツトマト、4位はビーツ、5位にはプチプチとした食感と塩味が特徴のアイスプラントが入った。

 タキイ種苗は「5、6年前からパクチー人気を実感する。種子を扱う業者も増え、品種も多様化している」とみる。調査は全国20~69歳の男女310人が対象。昨年11月にインターネットで実施した。
 

和食に「ぜひ」 ハウスで2・7ヘクタール 福岡・香月さん


 福岡県久留米市でパクチー栽培に情熱を注ぐ若手農家がいる。香月勝昭さん(40)だ。父親から経営を譲り受け、ハウス76棟、面積約2・7ヘクタールを手掛け、栽培規模は「個人農家では全国一」という。濃い味に仕上げるため、土耕栽培にこだわり、周年出荷する。

 香りが強く、しっかりとした葉と茎。香月さんが育てるパクチーの特徴だ。一年の中でも「春がうまい」と言う。種まき後、最短で40日、冬場は90~100日で収穫。全て鎌で手刈りする。暑さに弱いため、収穫後はすぐに予冷する。地元のJAみいを通じて出荷。関東中心に北海道、沖縄でも販売している。

 13年前、偶然見た日本農業新聞の小物市況でパクチーを知った。夏に安定して収穫でき、驚くほど高値で取引されることに興味を持った。当時栽培していたサラダナは下火。思い切って全てパクチーに切り替えた。

 ところが、最初は全く値が付かない。他の葉物との組み合わせで販売したが、「導入から3年ほどは苦戦した」と振り返る。徐々に「独特な香りが病みつきになる」と、注文が入るようになった。直接販促にも出向き、「エスニック料理だけでなく、だし巻き卵や天ぷらなど和食にも合う」と食べ方も提案する。

 同地区は小松菜や水菜など葉物が盛んな産地。「ハーブ扱いではなく、野菜としてパクチーに“市民権”を与えたかった」と香月さん。一過性のブームで終わらないように年間で売価変動がない売り方を求める。

 JAによると、販売量は10年で約3倍に拡大。春先で日量約500ケース(1ケース500グラム換算)を販売する。JA園芸課の荒巻衛岐さんは「周年供給できるのは強み」とアピールする。販路と消費の定着に向けて、小売りなどと年間の相対契約を拡大・強化する考えだ。

 流通関係者も人気を実感する。青果卸の横浜丸中青果によると、2018年度のパクチー取扱量は約32トンと10年度に比べ12トン増えた。個選も含め、茨城や静岡など産地が拡大する。年間数トンを扱う福岡大同青果もここ数年、取扱量が増えたと実感。同社は「以前に比べ香りがマイルドな品種も出てきて、女性を中心に人気。特に春と秋に需要が高い」と言う。 
 

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