若手4人が株式会社 3年で400頭超捕獲 獣害対策に成果大 和歌山県田辺市上芳養地区

設置したわなの見回りをする日向屋のメンバー(和歌山県田辺市で)

近隣農家の情報基にわな


 和歌山県田辺市上芳養地区で、若手農家ら4人が「株式会社日向屋」を立ち上げ、鳥獣害対策に大きな成果を上げている。1人一つの山を管理する仕組みで、3年間でイノシシや鹿など400頭以上を捕獲。野生鳥獣による被害が深刻な上、高齢化も進む中山間地域の同地区の農家は「被害が目に見えて減った」と喜ぶ。加工処理施設とも連携して野生鳥獣の肉(ジビエ)の普及も進め、中山間地域を盛り立てる。

 野生鳥獣対策を担う日向屋は、同地区で梅やミカンを栽培する若手農家らでつくる。代表の岡本和宣さん(40)、辻田直樹さん(36)、更井孝行さん(37)、湯川俊之さん(41)の4人がメンバーだ。

 同地区では、イノシシや鹿、猿、ウサギなどが出没。園地を掘り起こされたり、ミカンを食べられたりする被害が連日起きていた。「山に行って花火で追い払っても、効果があるのは数日。すぐに被害が出始めてきりがなかった」と岡本さん。「朝、園地に向かうと一面にミカンの皮が落ちていることもあった」(更井さん)という。

 市によると、2017年度の野生鳥獣による被害額は約3600万円。5年前の12年度と比べると約8%減ったが、依然として3500万円以上が続いている。「上芳養地区は市内でも被害が多い地域」(市農業振興課)で、特産の梅やミカンなど果樹で被害が深刻だ。

 被害が続く中、仲間で話し合った。「被害を減らすには追い払いや柵だけでは駄目だ。捕獲するしかない」。協力して捕獲する必要があると話がまとまり、3年前に前身の「チームひなた」を結成。活動を盛り上げようと1年ほど前に法人化した。
 

 ジビエ普及へ 加工施設と連携  


 捕獲に当たっては、辻田さんを中心に地区の農家から被害情報を収集し、情報を基にわなを仕掛ける場所を決める。捕獲する際には、山一つ当たり30基ほどのわなを仕掛け、それぞれが一つの山を受け持って管理。毎朝、30分程度の見回りが日課だ。連絡には、無料通信アプリ「LINE」などを活用する。捕獲を確認したら、すぐに情報共有し、迅速な対応を心掛ける。毎月、イノシシを中心に10頭ほど捕獲する。

 同地区で梅やミカンを2ヘクタールで栽培する更井寛司さん(58)は「鹿やイノシシなどによる被害が減って助かっている。近所の農家からも被害が減ったとよく聞く」と笑顔を見せる。

 捕獲したイノシシなどを有効利用しようと、ジビエの処理施設の誘致にも動いた。区長や地元の市議会議員らに協力を呼び掛け、18年にジビエの処理施設「ひなたの杜」を誘致した。

 ジビエを普及しようと同施設と協力し、地元のシェフを招いて食べ方の提案をする他、JA紀南の農産物直売「紀菜柑(きさいかん)」でイノシシ肉を使ったみそ汁を提供し、中学校にジビエの説明に出向くなどしている。狩猟体験も企画している。

 岡本さんは「仲間がいたから、ここまで成果を上げることができた。今後も活動を広げていきたい」と意気込む。 
 

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