ダム水不足 冬の雪、春の雨少なく 稲生育 今後に「不安」

田を見回る西村さん。今後の雨量を不安視する(10日、高知県南国市で)

 冬に雪が少なかったことや過去2カ月の降水量が少なかったことなどから、平年に比べて農業用ダムの貯水量が激減し、農作業が遅れるなどの影響が、一部地域で出ている。農家からは今後の稲の生育に不安の声が相次ぐ。気象庁によると、11日から1カ月は全国的に気温が高く降水量が少ない地点が多く、水不足が続く恐れがある。
 

長期間の制限「心配尽きぬ」 高知


 高知県では10日現在、吉野川上流の早明浦ダムで20%、物部川の永瀬ダムで20%の取水制限中だ。

 南国市で「コシヒカリ」1ヘクタールを無農薬で栽培する西村浩利さん(61)は米作り38年で、用水路と田に水が一切なくなった今年のような年は初めてだという。4月上旬に田植えは終わったが、中旬に用水路の水が枯渇し、苗が弱って黄色くなり、急きょ井戸から水を引いて対応してきた。現在は用水路の水も回復し、生育は順調だが「水稲の生育にとって大事な時期に入るので、まだまだ水不足への不安は続いている」と明かす。

 4月12日から取水制限をする永瀬ダムは県内の米どころを支える水がめだ。主流の早生は一段落したが、中生、晩生の田植え作業があり、用水が必要な時期は続く。夏野菜のかん水も必要な時期に差し掛かり、山田堰井筋土地改良区の植野寛事務局長は「この時期にこれほど長い期間、制限が続くのは異例。心配は尽きない」と訴える。
 

田植えに遅れ 愛知


 愛知用水へ水を供給する牧尾ダム(長野県木曽町)では4月5日から農業用水で10%の節水が続く。愛知用水土地改良区によると、農作業に遅れが生じている。

 同県阿久比町の20ヘクタールで水稲を栽培する澤田裕さん(60)は5月上旬に田植えを始めたが、水不足で平年と比べて5日ほど遅れた。「愛知用水は命綱。この時期の水不足は珍しい。夏に向け不安だ」と話す。同町で水稲100ヘクタールや野菜を栽培する農業法人「千姓」の代表、都築興治さん(33)は「近隣農家は順番に田に水を入れ、無駄遣いをなくし、みんなで節水に努めている」と苦労を訴える。
 

土出てる田も 福島


 福島県白河市の犬神ダムの貯水率は平年の3割にとどまる。社川沿岸土地改良区によると、1200人の稲作農家がダムなどから取水。山寺一事務局長は「昨年秋以降、降水量が少ない。気温が高く水が蒸発しやすい状況。土が出ている田も一部あり、これからが心配だ」と懸念する。
 

貯水率3割に 佐賀


 佐賀県の嘉瀬川ダムの貯水率は3割。2012年以降、最も低い水準にまで水が減った。県は「農業用水などの節水を呼び掛け、田植えに備える」とする。JAさがによると現時点で農作業に影響は出ていない。

 国土交通省によると10日時点で、国管理河川で渇水対策支部を設置する河川は9水系10河川、取水制限する河川は5水系6河川に上る。
 

太平洋側で少雨の予想 今後1カ月


 気象庁によると、18年12月からの冬は東日本以西で平均気温がかなり高く暖冬だった。西日本日本海側の降雪量は平年比7%の記録的な少雪となり、北海道、東北、北陸、関東甲信、東海でも降雪量、降水量は少なかった。春も少雨傾向は続き、9日までの過去60日の降水量は東海や西日本各地で平年比6割以下の地点が多く、一部地域で水不足や渇水状態になっている状況だ。

 11日からの1カ月は北海道から九州の日本海側で気温がかなり高く、降水量は平年並みか少ない予報だ。全国的に太平洋側の降水量は少ない可能性が高く、同庁は「農作物の管理に注意してほしい」と呼び掛ける。

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