「母の日」花需要 異業種連携が拡大の鍵

 きょうは「母の日」。花業界では彼岸や年末年始と並ぶ最大の需要期だ。定番のカーネーションやアジサイなどを贈る動きがある他、近年は亡き母をしのび、墓前に花などをささげる「母の日参り」も浸透してきた。花の市場規模が年々縮小傾向にある中で、異業種が連携して相乗効果で需要を拡大するトレンドに注目したい。

 世界にも「母の日」はあり、花を贈る習慣がある。日本では戦後から米国に倣って、5月の第2日曜日を「母の日」として花贈りが始まったといわれている。日本記念日協会の推計によると、「母の日」の市場規模は約1205億円。大田花き花の生活研究所が調べた市場規模は、花だけで約560億円と、全体の約5割を占める。

 近年は、定番の赤やピンクのカーネーションに加え、黄やオレンジ、緑系といった色の多様化が進む。「インスタ映え」する青系の品目にも人気がある。

 日比谷花壇が、もらうとうれしい花のタイプを尋ねたところ、生花を加工して長期間楽しめる「プリザーブドフラワー」が最も多く27%、次いで鉢植え(24%)、フラワーアレンジメント(24%)、花と菓子などのセット(16%)と続いた。

 小売各社のカタログでも、手間の掛からないプリザーブドフラワーや鉢植えなど、数多くの種類が紹介されている。中でも花と菓子のセットは、生花単品で贈るより満足度が高まるとして人気があるという。

 商機を逃すまいと産地は売り込みに懸命だ。カーネーション産地は、多彩な品種をそろえ、消費拡大を目指す。仏花としての印象が強い菊やスターチスの産地も、新たな販路拡大のチャンスとして力を入れる。

 菊をブーケにして売り込むのはJA静岡市しづはた菊部会。菊の「マム」と、英語で母を呼ぶ際に使う「マム」にかけて「ママにマムを」とPRに取り組んだ。ブーケは、スプレイ菊を中心にピンポンマムなど華やかな品種を加え、部会メンバーが作成する。

 JAグループ和歌山は、5月の大型連休から「母の日」にかけて「母の日参り」にスターチスを提案する。和歌山県のJA紀州青年部が10年前から始めた試みで、6年前からは県全体に拡大。2年前からはJAグループ和歌山の他、線香メーカーや生花店、和菓子、流通業界などの企業・団体が、業界の垣根を越えて関連商品を販売する。認知度は高まり、2019年5月の大型連休から「母の日」に墓参りする40代以上は11%と、07年に比べ2倍近くとなり、新たな花需要の創出につながった。

 これまで通りの販促をしていても需要は一向に伸びない。キーワードは「多様性」だ。花の品種や色を増やすだけでなく、異業種との連携が打開の糸口となるはずだ。

 今年は令和元年の「母の日」。新たな時代に、柔軟な発想で花業界の未来を切り開こう。
 

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