[あんぐる] みんなで育てる 町の広告塔 いちご市(栃木県鹿沼市)

巨大なオブジェや紙製の飾り60個をあしらった「いちごみこし」。春祭りの会場で「いちご市」を強力にアピールする(栃木県鹿沼市で)

市役所前のイチゴ色に塗られた郵便ポスト

 都道府県別で最大のイチゴ生産量を誇る栃木県でも有数の産地、鹿沼市がイチゴずくめの町づくりに燃えている。自ら「いちご市」を名乗り、バス停や郵便ポストなどのデザインを次々と“イチゴ化”。春祭りには巨大なイチゴのみこしも繰り出す。

 同市は作付面積が県内3位の老舗産地で、市場の評価も高い。施設での土耕栽培を主体に、151戸が36ヘクタールで生産している。

 同市は過去に、地域活性化に向けて「そば」や「サツキ」といったさまざまな名物を個々にアピールしていたが、いずれも「散漫になって不発だった」(市鹿沼営業戦略課)。そこで2016年に「いちご市」を宣言。市役所に大きな垂れ幕を掲げ、ポイントを特産物の代表格であるイチゴに絞って仕切り直した。

 「いちご市」宣言に呼応する形で、新たな名物も登場。3日に開かれた「鹿沼春の彫刻屋台まつり」には、高さ3・5メートル、重さ200キロの「いちごみこし」が現れた。祭りの実行委員が昨年制作したもの。屈強な男衆の掛け声に合わせ、頂点に載せた高さ1・3メートルの発泡スチロール製のイチゴのオブジェが上下し、会場を沸かせた。

 市は「いちご市」の地盤固めにも注力する。17年には地元のJAかみつがなどと協力し、新規就農者を育成する研修事業を始動。40アールでイチゴを生産するJAいちご青年部部長の岡部佳友さん(41)は「とことんやって、10年後の産地を明るくしてほしい」と期待する。

 宣言から3年目を迎え、さまざまな効果も見えてきた。市が17年に行った調査では、9割の市民が「いちご市」を認知。県外出荷が主の産地が、改めて足元から盛り上がり、菓子などイチゴの新たな加工品も登場している。

 佐藤信市長は「子どもたちに、古里の絵を描かせると、ほとんどがイチゴの絵だ。次世代へ確実に定着している」と手応えをつかむ。(染谷臨太郎) 
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは