「令和」時代幕開け 苦しみ「転」じ未来へ ナチュラルアート代表取締役 鈴木誠

鈴木誠 氏

 心新たな令和時代の幕開けとなった。

 国内の近代農業は、昭和の戦後に始まり、起承転結で言えば「起」の時代。日本の経済成長とともに、農業も成長し近代化が進んだ。その後の平成は「承」の時代。社会と農業は成熟化し、成長から横ばい、そして衰退を示すようになった。

 これからの令和は「転」の時代。過去の延長や常識から脱却し、新たな産業構造を生み出す時代だ。

 社会や経済は、神の見えざる手によって、自然に調整され、歴史は繰り返す。上がったものは下がり、下がったものは上がる。農業は昭和に成長し、平成で後退したが、令和で再び上昇に転じる。

 世界中で食料不足が深刻化し、農業の重要性は増すばかりだ。国内農業は、これまでのローカル産業から、ようやくグローバルに転換しつつある。平成に、たまりにたまった国内農業のストレスは、令和に成長に転じるエンジンとなる。
 

米需要復調兆し


 昭和には1人当たり年間2俵(1俵60キロ)の米を食べていた日本人が、平成ではその半分以下と急減した。だが、近年は学校給食でも米飯が増え、グルテンフリーの米粉の普及など、米の需要が息を吹き返す兆しも見えてきた。

 回転ずしなどは世界各国に出店し、それに伴い米の輸出拡大が期待できる。稲作は国内で最も大規模化やスマート農業化などが進み、生産コストが低下してきたことを考えると、新しいチャンスの時代を迎える。

 この数カ月、暖冬や輸入青果物の拡大で、国内青果物相場は異常な下げが続いた。しかし、過去数年を振り返ると、国内青果物相場は中長期的に上昇傾向にある。将来の需給バランスを考えると、今後も上昇傾向で、それは農家の採算性を改善する。

 日本特有の、丁寧できめ細かい農業は、世界でも十分に競争力がある。農業の注目キーワードは「おいしい」「便利」「健康」「加工」。おいしく便利な(食べやすい)、さっぱりした甘味と種なしで、皮ごと食べられるブドウの「シャインマスカット」や、濃厚で食べやすいミニフルーツトマトなど、ヒット商品は多い。

 健康的で人気を集める商品では、ケールの青汁や黒ニンニクなどがあるが、工夫次第でさらに新商品を生み出すことができる。輸出も拡大している。

 そして「特定技能」という新しい在留資格で外国人労働者の受け入れが今後拡大し、人手不足は緩和に向かう。JAグループの営農経済事業の強化で、資材価格も下がっていくだろう。
 

流通改革に期待


 国産青果物の卸売市場の経由率は約8割で、改正卸売市場法による流通改革が進む。首都圏一局集中から、地産地消の観点を強めた地方分散型への転換の他、農家やJA、卸売市場が三位一体となった流通改革が成果を出すことが期待される。

 そうしたことを積み重ねていけば、農家の採算性は着実に改善し、経営が上向くだろう。農家経営が良くなれば、農業は必ず元気になる。今は生みの苦しみの時期で、みんなにとって踏ん張りどころでもある。私たちが解決していけることだ。

 令和の時代、農業は新たな産業モデルを構築し、「転」の時代となる。そして未来の「結」の時代に、バトンをつないでいくことになる。
 

 すずき・まこと


 1966年青森市生まれ。慶応義塾大学卒。東洋信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)を経て慶大大学院でМBA取得。2003年に(株)ナチュラルアートを設立。著書に『脱サラ農業で年商110億円! 元銀行マンの挑戦』など。 
 

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