G20農相会合閉幕 生産性向上を宣言 ICT活用推進確認

共同記者会見でG20農相宣言を説明する吉川農相(中)ら(12日、新潟市で)

 新潟市で開かれた20カ国・地域(G20)農相会合は12日、資源の持続可能性確保と生産性向上を目指す「2019年G20農相宣言」を採択し、閉幕した。世界の人口増に対応できる食料生産の実現に向けて、各国で協力し、農業や食品分野で情報通信技術(ICT)の活用などを推進することを確認した。各国の取り組みを世界規模で共有するため、優良事例集も取りまとめた。

 議長を務めた吉川貴盛農相は、閉幕後の会見で「G20サミットや他のG20閣僚会議に弾みが付く良い成果を得られた」と強調。世界の農業・食品分野が抱える課題の解決へ「日本のスマート農業など、先端技術が大きく寄与する」とし、日本の技術を世界に展開する考えを示した。

 農相宣言では、生産性の向上を重視。生産現場にとって有用な技術確立が加速するよう、研究開発への農家の積極的な参加を推進するとした。現場への技術普及を円滑に進めるため、農家がICTなどを活用する際、必要な能力を身に付けることができる環境整備を推進する。

 世界で猛威を振るうアフリカ豚コレラをはじめとした越境性動物疾病などを「農業の発展を脅かす」問題と位置付け、対策を重視することも宣言に盛り込んだ。

 今回は、農相会合では初となる分科会を設置。①次世代の農業を担い革新を起こす人づくりと新技術②フードバリューチェーン(生産から加工、流通、消費の一体的な取り組み)全体に着目した収益向上策③国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた農業関係者の対応──について、それぞれ分科会で議論を重ね、宣言に反映させた。

 三つのテーマに基づき各国・地域の優良事例集を作成。日本からは、JAグループが途上国の農協職員らを対象に、国内のJAで、農民組織のリーダー育成や農協事業強化研修をしていることを紹介。地域のJAは、高収益作物の導入を支援していることも報告した。

 次回のG20農相会合はサウジアラビアで開く。
 

解説 持続可能性 日本が主導を


 G20農相宣言に盛り込まれた「持続可能性」の実現は、食料安全保障を確立する上で避けて通れない課題だ。担い手確保や技術革新なしには成り立たない。議長国として宣言をまとめた日本には、持続可能な農業につながる政策を展開し、世界にモデルケースを示していくことが求められる。

 農業の持続可能性に向けて提起された柱の一つが、技術革新だ。日本が強く推進する「スマート農業」は省力化に加え、施肥や農薬使用の適正化にも結び付く。農業経営はもとより、生産環境に貢献する部分も大きく、持続可能な農業につながる。そうした利点をさらに伸ばす技術開発を、国を挙げて後押しするべきだ。大規模経営だけでなく小規模経営 や若者、女性ら幅広い層を担い手と位置付け、それぞれに適した技術革新が必要だ。

 持続可能な農業・農村づくりには、多様な農業への理解や相互扶助が求められる。協同組合の存在は欠かせず、JAグループの役割は大きい。

 会合の中で、開催地、新潟県の高校生が提言した「農業オリンピック」では、技術革新の新たな在り方が示された。先進国と開発途上国がチームを組んで技術を競うという発想は、世界規模の協力関係を生み出すきっかけにもなり得る。

 10代の高校生が懸命に提言を 発表する姿は、日本農業が将来に秘めた可能性を、世界に強く示すことにもなっただろう。 
 

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