苦戦する集落営農 安定経営へ環境整備を

 集落営農が苦戦している。2018年は、米の作柄低下などで農畜産物の供給が落ち込み、大規模組織を中心に収入減が相次いだ。異常気象に加え、高齢化や労働力不足で経営基盤がもろくなっている。地域農業を立て直すには、担い手が安定して経営できる環境を整備することが不可欠である。

 日本農業新聞が集落営農法人・組織を対象にした18年調査で減収は全体の7割に及んだ。経営の柱となる米が全国作況指数98と振るわず、所得増につながらなかった。

 特筆すべきは、経営の規模が大きくなるほど減収の割合も高いことだ。面積別で見ると10ヘクタール以上20ヘクタール未満では減収が3割以下だが、20ヘクタール以上80ヘクタール未満となると6割強、100ヘクタール以上だと8割近くに達した。大規模化の弱点が露呈した格好だ。

 経営リスクを分散しようと、複数の作物を取り入れた多角化経営を進めるが、それも容易でないことが分かった。米以外の農畜産物の出荷・販売数量は「減った」が45%で、「増えた」(26%)を大きく上回った。販売価格も「下がった」が27%と、「上がった」(16%)より10ポイント以上高かった。天候不順で野菜や麦、大豆などの生産量が落ち込み、販売価格の伸び悩みがあった。

 所得確保が難しい背景には、経営基盤の弱体化が進み、供給力が落ちていることがある。組織運営の課題を複数回答で尋ねたところ、最多が「メンバーの高齢化」(71%)で、「労働力不足」(66%)が続いた。

 対応策については「機械・設備の増設」が前年の2倍の61%、「新規の雇用」も45%と大きく伸びた。経営の規模拡大や効率化を進めたい意向が表れているが、新たな投資が伴う。「十分な所得が確保されなければ難しい」というのが現場の見方といえる。近隣組織と、作業を連携して機械を融通するなど、現実的な方法を探る動きもあるが、まだ限定的だ。

 現場からは生産基盤の強化に向けて、セーフティーネットの拡充を求める声が強い。地域農業の担い手が発展するために優先すべき農業政策(複数回答)については「生産費を補う所得政策の確立」(42%)や、「収入減少の影響緩和対策の拡充」(37%)などが多かった。地域住民を巻き込み、担い手の負担を軽減する「日本型直接支払制度の拡充」(32%)への期待も高い。

 農水省によると、全国の集落営農数は約1万5000に上り、集積面積(農作業受託含む)は47万ヘクタールを超える。高齢でリタイアする人たちの農地の受け皿役となり、地域農業をけん引するが、オペレーターとなる作業者の高齢化や農地の分散など課題は山積する。

 組織を存続させるには、次世代の人材確保が不可欠だ。政府は担い手組織が所得を適正に確保でき、後継者を呼び込める環境を整備すべきだ。

おすすめ記事

論説の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは