あでやかな花は、病床にある正岡子規の目にも留まった

 あでやかな花は、病床にある正岡子規の目にも留まった。〈障子あけて病間あり薔薇(ばら)を見る〉▼バラの季節である。五月晴れの下に咲く花を子規は、どんな思いで見つめただろう。燃える命のエネルギーを感じたか。浜口庫之助は、ヒット曲「バラが咲いた」で心のバラを描いた。口ずさめば気持ちが潤う。思いは国境を越え、ロシアのサンクトペテルブルクにある小中高一貫校の校歌になった。副校長で日本語教師が大学時代に感銘したことがきっかけと伝わる▼漢字の「薔薇」は中国から入った。「そうび」と古今和歌集に出てくる。日本では、いばら、うばら、むばらと言っていたが、頭のい、う、むが脱落して「ばら」が残り、薔薇の読みとなった。難しい漢字がとげのある魅惑の雰囲気を醸し出す▼バラの歴史を学ぼうと開校111年の東京都立園芸高校を訪ねた。卒業生で「ミスターローズ」と言われた鈴木省三さんが丹精した記念園がある。原種からモダンローズまで約200種が咲き誇る。花の形、色、香りを決める遺伝子は、「生徒の貴重な教材です」と主任教諭の高橋和彦さん。日本の原種ノイバラは、1本の枝先に数輪の花が房状に咲く性質をもたらしたことも教わった▼心に一輪の赤いバラを活(い)ける。生きる勇気が湧く。
 

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