廃プラ輸出規制 環境負荷減らす対策を

 グローバル化の負の側面が露呈してきた。有害な廃棄物の国境を越えた移動である。環境負荷を減らすため、施設園芸にとって欠かせない農業用の汚れた廃プラスチックなどの輸出は今後難しくなる。廃棄削減に向けて長期間使える農業用フィルムや生分解性プラスチックの導入促進など、持続可能な処理方法を模索すべきだ。

 有害廃棄物の輸出入を制限する「バーゼル条約」の締約国会議が10日スイスで開かれ、「汚れた廃プラスチック」を新たに規制の対象に加える改正条約を採択した。プラスチックごみによる海洋汚染が国際問題となる中、日本がノルウェーと共同で提案した。海に投棄されたプラスチックは食物連鎖を通じてウミガメや魚類など約700種の生き物に危害を及ぼしている。

 規制は2021年1月から発効する。条約は原則、有害廃棄物を国内で処理し、輸出する場合は相手国の同意を得ることなどを義務付けているが、日本と同等の処理ができないと輸出を認めないことから実質、輸出は難しくなる。

 農業分野では、特に施設園芸はプラスチックなくして成り立たない。農水省によると農業由来の廃プラの排出量は年間約10万トン。過半を占めるのが、ハウスを覆う農業用ポリオレフィンフィルム(農PO)で5万4000トン。次いで「農ビ」と呼ばれる塩化ビニルフィルムで約2万7000トン(27%)、ポット・トレーが約1万4000トン(13%)と続く。全体の7割が園芸用だ。

 中でも農POは近年、保温性が高まり、軽くて薄いため高齢化が進む産地にとって引き合いは強い。フィルム張り替え時、「農ビは重くて夫婦げんかの原因になっていたが、農POは軽くてけんかが減った」と言われるほど普及した。1999年は農ビが8割を占めていたが、16年には農POが5割と、農ビ(4割)を抜いた。

 だが、ここで新たな問題が出てきた。農ビはほぼ100%リサイクルされ、床材などの建築や土木資材に使われる。一方、農POは燃やしてエネルギーを回収する「サーマルリサイクル」処理に頼る。地球温暖化につながる二酸化炭素を排出していることになり、持続可能な方法とはいえない。

 廃プラの処理を巡り、現場にはしわ寄せが来ている。中国が17年末に廃プラの輸入禁止に踏み切ったことで、処理費用は1キロ10円程度上がり、負担は増している。さらに大量の廃プラが国内に滞留し、環境省は緊急的に自治体に産廃のプラスチックごみ焼却を受け入れるよう求める方針だ。短期的にはやむを得ない措置だが、環境に負荷をかけない処理方法を早急に確立する必要がある。

 農業分野も長期間使える農POや土に返る生分解性プラスチックフィルムの普及など、廃プラ削減に向けて官民挙げて推進すべきだ。 

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