麦秋の筑後平野を行く

 麦秋の筑後平野を行く。博多から南へ下る電車は、金色の穂波を縫って走る。JAみなみ筑後管内では、先週から大麦の刈り取りが始まった▼この時季の雨を麦雨という。先週末、九州南部では穂をなぎ倒すほど麦嵐が襲った。走り梅雨のような前線の北上で天気は荒れ模様。50年に一度の記録的豪雨の一方で、ダムの水が干上がった所もある。列島は豪雨と水不足の不順なまだら模様を描きながら、夏へと向かう▼天も地も人も、ほどほどが一番なのだが、万物あまねく極端へ極端へと突き進む昨今である。右へ左へ、上へ下へ、政治も経済も振れ幅が大きい。きょうは二十四節気の小満。草木のいのち満ちる時。たくさんの種が、風水害に遭わずつつがなく実りを迎えることを願う。農作物の豊作しかり、人の子ならなおさらである▼いろんな種があることの豊かさを思う。なりわいの種、商売の種、アイデアの種。頭痛の種はごめんだが、この国には、種の多さにことよせた言葉が多い。美しい日本語を伝える評論家の山下景子さんが、種の語源に触れ、「田根」説を紹介している。暮らしの根っこに稲作があり、米と共に生きてきた「田民族」であることを改めて知る▼当方、米を見れば日本酒を、麦ならビールを思い浮かべる「酒族」でもあるが。
 

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