地球環境の汚染を警告した『沈黙の春』

 地球環境の汚染を警告した『沈黙の春』が世に出て間もなく60年。続編を出すなら書名は『沈黙の地球』になるかもしれない▼きょうは国連が定めた「国際生物多様性の日」。今年は「食と健康」をテーマに据えた。人間の経済活動が動植物を危機に追い込み、食も変えた。国連食糧農業機関(FAO)が2月に公表した報告書を見出し風に言えば「衰退する生物多様性」「急速に進む種の消滅」「食と農の危機」となる▼かつて食用に栽培されていた植物は約6000種。いま生産に貢献しているのは200種に満たない。世界の農業総生産の7割弱を米、小麦、大豆、トウモロコシなどわずか9作物で占める。畜産や酪農も限られた種に依存する。多様性と程遠い貧相な生態系が浮かぶ▼百姓を名乗り、「田舎の思想家」を任ずる福岡県の宇根豊さんは早くから「農の恵み」にまなざしを向けてきた。この国の田んぼに約5700種もの生きものがいること。カエルもメダカもトンボもヒガンバナも農の営みが育むことを深く優しい言葉で伝えてきた▼「この世界(大地)が四季折々の生きもの(有情)で満ちあふれるようになったのは、農のおかげなのです」(『農は天地有情』)と宇根さん。にぎやかな地球を農で取り戻すことはできるだろうか。

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