押切もえさん(モデル) 母見習って“家食”大事に

 身内のことを褒めるのもなんですけど、母はとても料理上手。働きながら、すごくバリエーション豊かにおいしい料理を作ってくれたので、うれしかったです。そのおかげで私と弟は今も“家食”を大事にしています。

 私は母親になって1年と少しですけど、離乳食もできるだけ自然に近い食材を使って作るようにしています。「ご飯を食べるって楽しいことだよ。ありがたいことだよ」と分かってもらえるように、手をかけています。あまり期待し過ぎるのもよくないんですけど。
 

夫の体調考えて


 夫(プロ野球の涌井秀章投手)がすごく好きなので、よくギョーザを作っています。豚のひき肉は、夫が脂肪を気にしている時は赤身を使います。野菜好きなので小松菜、ニラ、ネギ、ショウガ、ニンニク、キャベツをたっぷり入れて。小松菜は茎のしゃきしゃき感がアクセントになっていいです。キャベツは塩もみをして水分を抜いてうま味を凝縮させてから使います。そのあんに、ごま油としょうゆなどを混ぜて、ちょっと寝かせて落ち着かせてから皮に包みます。

 おいしく食べることが一番なんですけど、体のことを考えて作るように心掛けています。夫が減量を意識している時、疲労を回復させたいと思っている時、大事な試合の前など、その時々でメニューを分けています。

 鶏の胸肉はイミダペプチドという成分を多く含んでいるので、疲労回復に良いといいます。でも胸肉はパサパサしているので、料理の時には軟らかくする工夫をします。筋をちゃんと切り、砂糖と塩を少し入れた水に浸したり、火を入れる前に片栗粉をまぶしたり。

 せっかくの食材ですから、少しでもおいしく健康的な料理にしたいという気持ちを持っています。これは、農業体験をしたことが大きいんだと思います。
 

感謝で応えたい


 2010年に、新潟県の南魚沼で田植えに参加させていただきました。照りつける太陽の下、腰をずっと折ったままで少しずつ植えていきました。その間は楽しくやれたんですけど、後で腰を伸ばした瞬間、ものすごい疲労感に襲われたんです。私よりご年配の方々が頑張っている姿を見て、大変な思いをして作っていらっしゃるのだなと感じました。

 東京に帰ってから、稲の成長が気になって。台風が来たとか、まっすぐ育たないという情報が入るたび、胸が痛くなりました。農家の方は毎日、稲を見守っているわけです。自然を相手にするということの大変さを知りました。

 私の父方の実家は山形で農業をしています。小さい頃、よく遊びに行きました。山菜やタケノコを採って料理してくれたり、正月に行くとくるみ餅をたくさん用意してくれたりしていました。よく覚えているのは、メロンを磨く手伝いをしたこと。山形は夏の暑さが厳しいところです。暑い日にクーラーもない中で、一つ一つ産毛を取ってシールを貼っていきました。こうした作業があって、初めてメロンとして売られるんだと知りました。

 山形から米や野菜が送られてくるたびに、これを作るのにおばあちゃんたちは大変だったろうね、と感謝の気持ちが湧きました。

 日本中の農家の皆さんが、いろいろと努力しています。その成果をどうぞ自信を持って送り出してください。私たち買う側は、感謝の気持ちを持っておいしくいただきたいと思います。(聞き手・菊地武顕、写真・伊藤大作)
 
おしきり・もえ 1979年、千葉県生まれ。ティーン雑誌の読者モデルを経て「CanCam」「AneCan」の専属モデルとして活躍。絵画や執筆でも才能を発揮し、2015年に初出品で二科展絵画部門に入選し、16年刊行の小説『永遠とは違う一日』で山本周五郎賞にノミネートされた。

おすすめ記事

食の履歴書の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは