“協同労働”で「困った」解決 草刈り、代かき、耕作―請け負います 広島市安佐南区でJA組合員が団体

草を刈り、木を伐採してきれいな農地に戻した上垣内さん(左)と組合員の國田晃司さん(広島市で)

 広島市安佐南区の伴・大塚地区を中心としたJA広島市の組合員14人が、全員で出資して経営、労働する協同労働団体「アグリアシストとも」を立ち上げた。地区のJA組合員を対象に、草刈りや水田の耕起といった農作業を請け負う。地域の農業と景観の維持が目的。JAは技術指導などで連携・支援していく。(塩崎恵)
 

農業、景観守る


 同地区は市の中心部から約10キロの場所にあり、住宅と農地が混在する。農家の高齢化が進み、耕作放棄地が増加。このため、景観悪化への懸念の声や農地維持などの課題が出ていた。

 JAの伴支店と大塚支店は2018年夏、組合員を対象に今後の農業経営継続に関するアンケートを行った(約100世帯から回収)。「今後米作りを続けたいが難しい」「やめる」が計58%、後継者は「いない」「今後話し合う予定」が合わせて52%いることが分かった。このような状況を踏まえて組合員有志が同年9月、「アグリアシストとも」を立ち上げた。

 メンバー14人は全員が兼業農家だ。主に同地区のJA組合員を対象に、草刈りや水田の代かき、畑の耕作など地域農業に関連する困り事を支援する。金額は見積もりを出し、双方が納得した上で作業する。

 地域農業の維持へ、集落営農組織を設立する事例は多い。こうした組織は集落ごとに農機や施設の共同利用や共同での農作業といった、比較的大がかりな作業を担う。これに対し、同地区では農家個々の困り事への対応を重視。協同労働組織の形態で、個人の求めに対応できるようにした。

 設立以来、30件近くの作業を受託した。口コミで依頼が増え、作業の人手が足りない状況だ。このためメンバーが農家の知り合いなどに声を掛け、協力員を集めていくとしている。

 今後は耕作放棄地を活用して住民が農業をする場を提供することで、地域で支え合う農業に取り組んだり、農地維持のための提案をしたりする予定だ。

 JAは月に1回開く同団体の会議に参加して、情報を共有。JAの広報誌で団体の宣伝や、技術支援、困っている組合員の情報を団体につなぐなどして連携する。

 事務局長の上垣内保之さん(72)は「愛着ある地域の農業を守るため、立ち上がる必要があった。JAにやってもらうのではなく、JAと連携しながら活動していきたい」と話す。

 JAは「地域の活性化へ組合員の力は不可欠。しっかりと連携していきたい」(伴支店)と話す。
 

<メモ> 協同労働


 参加する全員が出資・経営・労働を担う。1人1票が原則。何かを決める際は、全員の意見を必ず確認して全会一致での決定を目指す。事業継続のため収益を求めるが、経験や特技を生かし、自分らしく働くこと、地域を元気にすることを目的にしている。現在、全国で10万人が関わり、事業規模は1000億円(日本労働者協同組合連合会の推計)に上る。

 協同労働を巡っては、与野党国会議員による超党派の議員連盟が、法人格を認める新たな法案骨子をまとめ、法制化に向け調整が続く。同労働では非営利で地域のために活動するが、現行法では労働者が出資して事業を行う法人形態が存在しなかった。法人格を持つことで社会的信頼が高まるなど、組織活動が安定することが期待されている。
 

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