訪日客に照準 “食”売り込め

群馬県内の野菜農家を視察するビーガン料理のシェフら(前橋市で=ジェトロ群馬貿易情報センター提供)

完全菜食主義 ビーガン対応 こんにゃくや野菜 県産提供へ“先陣” 


 日本貿易振興機構(ジェトロ)群馬貿易情報センターは、欧米を中心に増えているビーガン(完全菜食主義者)を対象に、群馬県産のこんにゃくや野菜などの食材を売り込む取り組みを進めている。さまざまな食の志向に対応することで、2020年東京五輪・パラリンピックを控え増加するインバウンド(訪日外国人)の受け入れ拡大や、県産農産物や食材の輸出も視野に入れる。

 ビーガンは動物由来の食品を食べない厳格な菜食主義者。日本ベジタリアン協会(大阪市)によると、ジェトロなどの調査で15年のドイツ総人口の1・5%がビーガンとされる。また英国では06年から10年間でビーガン人口が3・5倍に増え、54万人に達するという。日本国内でも人口の4%程度に上るというデータもあり、「ビーガン人口の増加は世界的に大きな話題となっている」(同協会)という。

 こうした動きに着目し、群馬貿易情報センターは昨年8月の開所後すぐに、群馬県産の農産物や食材をどう売り込むかを調査。同県はコンニャク芋の収穫量が全国の9割を占める産地であることから、「地場産野菜とこんにゃくはビーガンに向く」と判断した。

 今年3月中旬には米国、オーストラリア、ドイツからビーガン料理のシェフらを招き、県内の野菜農家や食品工場、ビーガン料理の飲食店や旅館などを視察した。県内の18社が商品を紹介する商談会も開催。乾燥野菜やこんにゃく、米粉、もち麦を使った麺、しょうゆなどが並んだ。出席者からも「群馬の食材でさまざまな料理が作れる」と高評価を得たという。

 手応えを感じた同センターでは6月下旬に県内のホテルや飲食店、観光施設の関係者を対象に勉強会を開き、ビーガンへの対応力を磨く方針。同センターの亀井信明係長は「訪日客の中にはビーガンがたくさんいる。東京五輪をきっかけに、群馬でビーガンを受け入れることを知ってもらい、将来的には食材も輸出したい」と将来を見据える。
 

イスラム戒律ハラール取得 誘致や輸出に必須 JA・企業続々と


 観光庁は「明日の日本を支える観光ビジョン」として、訪日外国人旅行者数(18年時点で3119万人)を20年に4000万人、30年に6000万人とする目標を掲げている。近年ではイスラム教を信仰する人々(ムスリム)が多いマレーシアやインドネシアなど東南アジアからの旅行者が増加。一部の肉製品やアルコール類が禁止されているムスリムの食事戒律「ハラール」への対応を進める産地も広がってきた。

 鹿児島県のJAあおぞらは15年からハラール認証の茶(煎茶、粉茶、玄米茶、ウーロン茶)を販売する。福岡県のJA筑前あさくらでも柿チップやイチジクチップ、ゆずこしょうでハラールを取得するなど、JAでも取り組みが進む。

 食肉加工業のゼンカイミート(熊本県錦町)は12年にインドネシア、17年にマレーシア政府からハラール処理施設として承認され、現在5カ国に牛肉を輸出する。よつ葉乳業(札幌市)も拡大するハラール市場に着目し、14年からチーズや牛乳を製造する各工場で順次、認証を取得した。

 日本国内でハラール認証を行う団体の一つ、日本ハラール協会のレモン史視理事長は「訪日観光客やオリンピックはもちろん、労働力としても外国人が増加傾向にある。その受け入れ体制として、食や生活全般の多様化が必要となってくる。国内はもとより、海外へ輸出する際も多様性に対応していかなくてはならない」と指摘する。ただ、ハラール認証の基準が各国で異なるなど、世界の多様な食習慣や宗教、文化に対応するには課題も多く横たわるという。 
 

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