首脳会談 真意は選挙後 日米 水面下で約束か 特別編集委員 山田優

 米ワシントンポスト紙が面白い調査をしている。トランプ大統領が就任して以来、うそや誤解を招く表現を数え、828日目となる4月末で1万回を超えたと報じた。トランプ氏はメキシコ国境の壁建設や雇用創出について、演説やツイッターで自慢話を垂れ流すが、その多くにうそが混じる。メディアからの指摘にも、どこ吹く風だ。もしかしたら大統領の辞書には「誠実」という言葉が存在しないように思えてくる。

 だとすると、5月末の日米首脳会談前後で表明した日米貿易交渉に関わる一連の問題発言も、あまり真剣に受け止めなくてもいいのだろうか。その後日本政府高官が火消しに走ったように、日米が合意していないことを、大統領が勝手な思い付きで口にしただけなのだろうか。

 安倍晋三首相との会談やゴルフ、会食が繰り広げられる中、一連のトランプ氏の発言を順に並べてみる。

 ◇5月25日のツイッター=「日本との通商交渉で大きな進展が得られつつある。農産品と牛肉は特にそうだ」

 ◇26日のツイッター=「選挙までは交渉の多くのことを待つ」

 ◇27日の首脳会談の冒頭=「恐らく8月に両国にとって素晴らしい内容が発表できるだろう」

 ◇同首脳会談後の会見=「TPP(環太平洋連携協定)は関係ない。米国はTPPに縛られていない」

 これらの発言をつなぎ合わせると、大統領の言いたいことは次のような内容だったと推測できる。

 「実はシンゾーに言われたから夏の参院選前には公表できないが、8月には牛肉など農産品でたっぷり市場開放をゲットするから米国民は期待してくれ。過去に日本が約束したTPP合意水準なんて、そんなのカンケーねえ」

 冒頭書いたような与太話の一つという線も捨てきれないが、常識的に判断すれば、農産物市場開放について日米間で何らかの約束ができているのだろう。もう一方の当事者である安倍首相がだんまりを決め込んだままというのも怪しい。

 国政選挙後に安倍政権が突然牙をむくのは、2015年の「農協改革」の時に経験済みだ。大幅な農産物市場開放の準備が水面下で進んでいるとしたら、8月に日米の貿易協定交渉が急転直下まとまる可能性がある。「選挙後まで待ってくれ」と安倍首相が依頼した日米合意の内容が、その時に明らかになるだろう。 
 

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