アフリカ豚コレラ 発生国から肉製品 訪日客1割が違反 持ち込み「簡単だ」 本紙調べ

 アフリカ豚コレラ(ASF)発生国からの訪日外国人旅行者(インバウンド)のうち、およそ1割が母国のソーセージなど肉製品を日本に持ち込んでいることが、日本農業新聞の調査で分かった。観光地や空港で202人から聞き取った。分析は宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターの末吉益雄教授の協力を得た。日本に肉製品を持ち込むことが「簡単だ」「少し簡単だ」と考える人は3割を超えた。ASFの原因にもなる肉製品が違法に持ち込まれている実態が浮き彫りになった。(尾原浩子、関山大樹)
 

ウイルス侵入の恐れ


 アンケートは5月中旬から6月上旬にかけて東京都内の秋葉原、上野、銀座、築地といった観光地の他、羽田空港や成田空港で実施。ASF発生国である中国180人、香港8人、ベトナム9人、カンボジア5人から回答を得た。

 ASF発生国からの違法な肉製品の持ち込みによって、ASFウイルスが侵入する恐れがある。空港などでは年間約9万4000件の違反品を回収。中国で初めてASFが発生した2018年8月3日から19年6月6日までの違反品からはASFウイルス遺伝子が43件確認され、うち2件は感染力があるものだった。

 調査では「日本に自国の肉製品を持ち込んでいるか」という問いに「持って来ている」と答えた人は、全体の8%だった。理由は「子どもにプレゼントするため」(中国)、「ホテルで食べるため」(中国)、「手作りの肉まんを食べたいから」(中国)などが挙がった。
 

探知犬わずか33頭 検疫対応難しく


 本紙が行った調査では「簡単に持ち込める」とする訪日外国人が相次いだ。一部には「最近はテレビや空港で肉製品の持ち込みは絶対に駄目だと盛んに言われる」との声もあるが、日本にいる家族の土産などとして持ち込んでいる人がいるのが実態だ。持ち込んでいなくても、「チェックが厳しくない」「友人は持って来ている」と複数人が明かした。
 
乗客の荷物を調べる検疫探知犬(東京都大田区の羽田空港で)
 
 農水省によると、国内への農畜産物の持ち込みを調べる「検疫探知犬」は33頭。31頭が羽田や成田など国内7空港で手荷物を調べ、2頭は国際郵便を扱う神奈川県の川崎東郵便局で検査する。

 しかし現状では、探知犬の数が足りていない。動物検疫所は「外国便が集中する時間帯は、渡航者全員に探知犬をあてがうことは困難」と説明。探知犬は地方空港に出張調査も行うが、頻度は2、3週間に1回程度。派遣頭数も少なく、担当者は「探知犬による抑止効果を期待するにすぎない」と明かす。

 同省は肉製品の持ち込みを故意でなければ注意するだけだったが、4月から規制を強化。違反品を確認した場合、1回目は警告書を出し、パスポートの情報を記録する。2回目以降は必要に応じて刑事告発をする。規制を強化した4月22日から6月4日までに警告書を出した件数は239件、回収した違反品の重量は約1950キロという。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは