[営農×流通] 冷凍ホウレンソウ 分業化で年2600トン 宮崎経済連協同会社

冷凍用ホウレンソウの機械収穫時に、生育を確認するフィールドコーディネーターの米良係長(中)とアグリさいとの沼口常務(右)(宮崎県西都市で)

 調理の手間を減らせることや、価格が安定していることなどを背景に、冷凍野菜の人気が高まっている。ホウレンソウは国産原料で消費者の心をつかんだ。鍵は産地の安定供給。宮崎県ではJA宮崎経済連の関連会社が生産・出荷の調整役を担う。生産者は農作業の分業で効率化を進める。(石原邦子、三宅映未)

 消費者に国産冷凍野菜を届けるために、工場と産地をつくる――。宮崎県のJA宮崎経済連の協同会社「ジェイエイフーズみやざき」は、そんな発想を実現するために設立された法人だ。拠点となるのは同県西都市の冷凍加工工場。その半径20キロ圏内に、看板商品であるホウレンソウの栽培で同社と契約を結んだ生産者の畑96・9ヘクタールが広がる。

 冷凍用のホウレンソウは葉の厚みが特徴だ。時期によっては草丈が60センチを超えることもある。栽培期間は、市場出荷の品種の2倍超に当たる90~120日に達する。

 JA西都の出資法人であるアグリさいとは、ジェイエイフーズみやざきと栽培契約を結んだ生産者の一員。自社農地11ヘクタールで冷凍用を栽培するとともに、種まきと防除の作業受託も手掛ける。堆肥の投入量は10アール当たり3、4トンで、これは慣行栽培の2倍に相当する。同法人の沼口俊彦常務は「8月の炎天下に短期間で大量の堆肥を散布するのは並大抵のことではない。しかし、土づくりで収量は決まる」と多収穫栽培の重要性を語る。

 冷凍用ホウレンソウの産地は県内3JAにまたがり、種まきから収穫までの分業で生産効率を高めている。2018年産で冷凍用ホウレンソウを手掛けたのは、個人と法人を合わせて63戸。土づくりは、全戸が個別に堆肥を投入する。種まきや防除作業は、大型農機を操る二つの大規模農業法人が担う。収穫から加工まではジェイエイフーズみやざきの出番だ。9月から段階的に種をまき、11月から翌年5月の収穫まで、分業で冷凍用ホウレンソウを栽培。18年産の総生産量は2600トンに達した。

 栽培の相談・調整は、フィールドコーディネーターと呼ばれるジェイエイフーズみやざきの担当職員3人が担う。毎週、契約畑260筆を回って生育を見極め、冷凍加工工場の稼働日と擦り合わせて収穫日を決める。いわば生産管理の司令塔だ。カルシウム不足の兆候を見つけたら、農家に対してカルシウム剤の追肥や葉面散布を指示する。

 安定供給もフィールドコーディネーターの双肩にかかる。同社原料課の米良大輝係長は「天候変化による生育のぶれを察知して、収穫までの計画を常に練り直すことが求められている」と話す。

 消費者に選ばれる冷凍野菜を製造するため、工場では収穫後、原則として24時間以内に冷凍加工する。鮮度を保ち、栄養と風味を最大限引き出すためだ。搬入後、選別機と作業員約40人の目で異物や黄化した葉を徹底的に取り除く。使いやすい少量ずつの、ばら冷凍で仕上げる。
 


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