[あんぐる] 覚悟は、いいか 平庭闘牛大会(岩手県久慈市)

特産の日本短角種の雄牛が激突する「平庭闘牛大会」。相手をにらみ付けながら力強く押し合う(岩手県久慈市で)

 岩手県久慈市山形町で毎年4回、東北地方で唯一の闘牛大会が開かれている。出場する牛は地元特産の短角牛で、頑丈な足腰と我慢強い性格が持ち味だ。6月の「つつじ場所」では、体重400キロの若牛から1トン級の横綱までが熱戦を繰り広げた。

 「平庭闘牛大会」は、平庭高原に常設する直径22メートルの円形の闘牛場で開く。「勢子(せこ)」が掛け声や綱さばきで牛を操り、けしかけ合う。今年のつつじ場所では26頭が取り組みを披露した。

 牛同士が「ゴツン」と鈍い音を立てて頭をぶつけ合い、ともに額で押しながら攻め口を見計らう。一方が隙を突いて土俵際まで押し込むと、会場は一気に盛り上がる。全ての取り組みで勢子が頃合いを見て戦いを収め、引き分けにするのが大会の流儀だ。

 JA新いわての小野寺敬作組合長は取り組み後、今回出場させた2歳の「壱乃翔」を「優しい子だが、よく頑張った」と、ねぎらっていた。
 
泥を跳ね上げながら突進する牛。1トン級の猛攻に会場が盛り上がる

 同町は全国で活躍する闘牛「南部牛」の産地。大会は各地の牛主に牛の資質を見せる場でもあり、生後2年未満の若牛を出場させたり、「負け癖」が付かないよう引き分けにしたりしている。観戦した新潟県小千谷市の小千谷闘牛振興協議会の間野泉一会長は「ここの牛は骨が太く粘り強い。横綱の素質がある」と絶賛する。

 同町の闘牛の起源は定かではない。江戸時代に塩や鉄を運ぶ牛同士を戦わせ、最も強い牛を隊列の先頭にしたのが始まりといわれる。その後、闘牛が盛んな新潟県に売られた牛の才能が開花し、現在の地位を築いた。

 主催する、いわて平庭高原闘牛会の副会長を務める畜産農家、柿木敏由貴さん(46)は「みんなで応援して闘牛を育てる、愛情あふれる大会だ」と魅力を話す。(染谷臨太郎)

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは