[未来人材] 30歳。 避けていた農業いつしか熱中…農福連携手掛ける 大切な食で地域守る  石岡麻希さん 青森県五所川原市

小玉スイカの生育を確認する石岡さん(青森県五所川原市で)

 青森県五所川原市の石岡麻希さん(30)は農福連携を手掛ける合同会社「農すてーしょん」を立ち上げ、地域の障害者就労支援をする。9ヘクタールの畑で特産のツクネイモや小玉スイカなど約10種類の野菜を通年出荷する。気持ちが沈んでいた時に食の大切さを痛感し、「嫌いだった農業」が「楽しい農業」に変わった。地域のために奔走する。

 ツクネイモなどを栽培する兼業農家で育った石岡さん。障害者雇用をしており、農業で成長していく姿を見て、偏見や抵抗はなかった。それでも「農作業は大変。絶対に継がないと決めていた」と苦笑いする。

 農業の良さに気付いたのは2010年、シングルマザーになった時だ。生活が厳しく、不安から気持ちが沈み、何を食べても味がしない。気晴らしに実家の農作業を手伝うと、久々におなかがすいた。「トマトの味が分かった。おいしくて感動した」という。喉と心が潤うのが分かった。

 農業から元気をもらい、時間の融通が利く福祉関係の職に就き、家族と近所の住民に支えられながら働いた。

 父は地域のリーダー的存在で、住民の悩みが寄せられた。①人手不足②障害者の雇用③遊休農地――が大きな課題だった。「つらい時、地域の人が手を差し伸べてくれた。福祉施設での知識を生かし、食べ物の大切さを教えてくれた農業で今度は私が地域を守ろう」。そんな思いが強くなった。

 16年、遊休農地を募集し農地を集約。17年に子どもが小学校に上がるタイミングで「農すてーしょん」を始動した。利用者は当時1人だったが、徐々に増えた。

 石岡さんが重視するのは「楽しい農業」。利用者に目を配り、性格を見極める。土に穴を掘る人、種をまく人、覆土する人と細かく作業を分け、効率化。失敗しても何度も教え、笑いを絶やさないよう注力する。

 石岡さんを18歳から知るJAごしょつがる野菜課の加藤麗樹さんは「諦めない努力家。周りの助言を聞き入れる素直な心を持っている」と感心する。

 現在、利用者は14人。農産物はJAや県内のホテルに出荷する。定員は15人だが、今後さらに増やす考え。「地域に恩返しをしたい」。石岡さんの挑戦はこれからも続く。(高内杏奈)

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