防災協力農地 都会に必須 避難、治水…役割じわり浸透 大阪府寝屋川市

防災協力農地には看板が立てられ、住民に災害時の役割を周知している(大阪府寝屋川市で)

 最大震度6弱を記録した大阪北部地震の発生から18日で1年。府内では地震を機に、災害時に農地を住民の避難場所などとして開放する「防災協力農地」を確保するため呼び掛けを強化し、登録に結び付ける自治体が出てきた。地震や集中豪雨などの災害が相次ぐ中、一時的な避難スペースや治水機能などの役割を持つ都市農地の重要性が改めて見直されている。(斯波希)
 

地震を機に登録増 18年度は13戸、1・6ヘクタール


 約23万人が暮らす大阪府寝屋川市。市南部の高宮地区では、住宅街に隣接する田んぼ数カ所に「防災協力農地」と記された看板が立つ。市内では全農地155ヘクタールのうち、約20ヘクタールを防災協力農地として登録。2018年度は、13戸の約1・6ヘクタールの農地が新たに登録された。増加面積は、10年以降で最大となった。

 市産業振興室の河野陽係長は「呼び掛けを強化したことに加え、特に昨年は災害が多かったので、いつ何が起きてもおかしくないという現実感を持って積極的に協力してくれる農家が多かったように感じる」と話す。

 防災協力農地は、地震などの災害時に一時的な避難場所や緊急資材置き場などとして活用できるよう、事前に所有者の許可を得て登録された農地。府内では、約51ヘクタール(18年11月現在)が登録。各地で登録件数の伸び悩みが課題となる中、同市では農家らへの地道な呼び掛けなどを通じ、取り組み当初の約9ヘクタール(03年)から徐々に増やしてきた。

 所有する20アール全てを防災協力農地として登録する高宮地区の倉内喜由さん(76)は「地域では、普段から子どもや住民に農地の大切さを知ってもらう機会をつくっている。災害時も、必要なときには協力しようという気持ちを皆が持っている」と話す。同地区に住む南森百合子さん(74)は「学校などの避難場所は遠いので、近くの田んぼに一時的に避難できる場所があると安心感がある」と話す。

 府内では、同市や堺市、守口市など8市町が防災協力農地登録制度に取り組む。府と、府内42市町村でつくる大阪府防災農地推進連絡会では、1月31日を「防災農地の日」に設定。貝塚市では12年度から毎年、この日の前後に防災協力農地での訓練を行っている。水路を使った初期消火訓練などを通じ、取り組みを周知している。毎回、地域住民ら50~100人が参加するという。

 府は「都市農地は、災害時の貴重なオープンスペースとして重要な役割を持っている。多面的な機能の一つとして、防災協力農地の取り組みを啓発していきたい」(環境農林水産部農政室整備課)と話す。
 

田畑残す施策を


 都市農地に詳しい東京大学大学院の安藤光義教授は「空き家率が高まり、それほど強度が高くない住宅も増える中で、町の防災機能が弱まっている。(避難場所などとして活用できる)農地がますます減れば、住民の安全確保が難しくなる。町づくりの観点からも、国や自治体は農地を残すための具体的な対策を考える必要がある」と指摘する。
 

<ことば> 大阪北部地震


 18年6月18日午前7時58分、大阪府北部を震源として発生した最大震度6弱の地震。府によると、死者は6人、負傷者は382人(19年4月1日現在)。農業関係では、ため池や水路の破損、畦畔(けいはん)の崩れなどの被害が発生した。 

 

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