国会から消えたもの

 国会から消えたもの―。品性、論戦、合議などの単語がたちどころに浮かぶ▼今国会も会期末までわずか。日米貿易交渉、老後資金2000万円不足問題など火急のテーマをよそに「開店休業」状態。もはや「言論の府」は死語に等しい。あるのは、やじの応酬と場外戦ばかり。特に巨大与党による横暴、論点すり替えの「ご飯論法」は目に余る▼参院選を控え安全運転に徹したいのだろう。火種と分かれば金融庁の報告書でさえ「なかったこと」にし火消しに走る。野党から現代版「焚書(ふんしょ)坑儒(こうじゅ)」の声も上がる。秦(しん)の始皇帝が、自らに都合の悪い本を焼き、批判する儒者を生き埋めにした故事まで引っ張り出すのだから、怒りのほどが知れる。当然、数で劣勢の野党は勢いづく▼風刺と毒舌でなる作家・筒井康隆さんが編んだ『現代語裏辞典』で、【国会】を引くと「剥(む)き出しの権力争いが許される場所」だとある。国会は党利党略、保身のための権力闘争の舞台ではなく、国民生活のために良識ある言論を戦わせる場であってほしい。そう願うのは〈木によりて魚を求める〉ほど難しいかも▼きょう、その真価が問われる党首討論がある。実に1年ぶりのこと。七夕の逢瀬(おうせ)ではあるまいし。これで党首空論ならテレビ桟敷の国民から容赦ないやじが飛ぶだろう。

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