地震禍の山形 酒造メーカー 1万本処分 注文も停止 片付け「1カ月かかる」

加藤嘉八郎酒造で一升瓶約5000本が割れ、片付けに追われる加藤さん(20日、山形県鶴岡市で)

 最大震度6強を記録した地震により被害を受けた、山形県鶴岡市大山地区の酒蔵で20日、撤去作業が続いた。

 加藤嘉八郎酒造・醸造担当の加藤嘉隆さん(44)は地震直後、酒蔵に走った。酒蔵の電灯をつけた瞬間目に飛び込んできたのは、反射して光る一升瓶のかけらが足の踏み場もなく散乱する光景と、ひしゃげて今にもつぶれそうな冷蔵庫の扉だった。「めちゃくちゃだった。時間を忘れ、ぼう然とした」と振り返る。

 10カ所ある貯蔵庫の全てが被害に遭った。25万本のうち、割れた一升瓶は約5000本。キャップの破損や、破片で傷が付いたものを含めると1万本処分することになる。確約していた注文も、酒が確保できず、一時停止している状況だ。

 従業員の安全を確保しながらの作業はなかなか進まない。「片付けは1カ月かかる見通し。品質を重視し、タンクでなく瓶に入れて貯蔵していたのがあだになった」と加藤さんは肩を落とす。

 同地区の酒造メーカー、渡会本店18代目の渡会俊仁さん(55)は昨年代替わりし、総大将になった。「心機一転、これからという時に……」とつぶやく。一升瓶1000本が割れ、約1メートル四方の箱が破片でいっぱいになった。

 余震を警戒し、ケースの置き方を工夫する。6段まで積んでいたが3段程度に抑え、2ケース を1組にして縦横交互に積み、強度を出した。「通常運転に向け、社員一丸となり取り組む」と気持ちを新たにする。

 1・5ヘクタールで酒造好適米を栽培する同市の福原太一さん(39)は「今年も良い酒ができたと喜んでいたのに残念だ。今後、品薄になるのが心配」と表情を曇らせる。一方で、「今年産の酒に向け、収量を増やし、良い酒を造れるように努力する」と意気込む。

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