存在の大きさを改めて思う

 存在の大きさを改めて思う。〈昭和の歌姫〉美空ひばりさんが逝って、きのうで30年となる▼先日、レコードやCDなど作品の累計出荷数が何と1億1700万枚に達していたことが分かった。没後30年を記念し特集番組も相次ぐ。「悲しき口笛」から最期の曲「川の流れのように」まで彼女の主要作品50曲を網羅した3枚組CD「オリジナルベスト」を何度も聴いた。通奏低音は“哀愁”そのもの。それが、戦後の昭和という時代と重なり、人々の郷愁を誘う▼古賀政男さんが作曲した心に届く代表作「悲しい酒」。古賀メロディーもこの歌で完成した。幼い頃の記憶で鮮明に残るのは、当時のテレビ番組の主題歌で、第7回レコード大賞に輝いた「柔」。〈勝つと思うな 思えば負けよ〉。今思うと、これは貴重な人生訓なのだと気付く▼同じ1937年生まれの昭和を代表する作詞家・阿久悠さん。偉大過ぎる彼女を敬愛しつつも、決して交わらなかった。晩年、なぜひばりさんの曲を書かなかったのか悔やんだという。彼女の幻影を浮かべ、言葉を紡いだのが八代亜紀さん歌う名曲「舟唄」である▼長年付き人を務めた関口範子さんの『美空ひばり恋し お嬢さんと私』は、〈等身大〉の“お嬢”を描く。そこには「愛燦燦(さんさん)」の歌詞こそが似合う。

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