いま時分の季節に浮かぶ歌はイルカの「雨の物語」

 いま時分の季節に浮かぶ歌はイルカの「雨の物語」。そして本なら『雨のことば辞典』である▼〈窓の外は雨 雨が降ってる いく筋もの雨が 君の心の くもりガラスに〉。42年前の楽曲だが、いつ聴いても新鮮で懐かしい。作詞、作曲は名曲「なごり雪」なども手掛けた伊勢正三さん。情景が浮かび心に届く▼前著は天気キャスターで有名な倉嶋厚さんらが編集し、以前も小欄で紹介した。何度読み返しても、これほどの雨に関連した言葉があったのかと驚く。表現の豊かさに、日本人の感受性を重ねる。春なら「桜雨」「卯(う)の花腐(くた)し」、夏には「白(はく)雨(う)」「銀(ぎん)竹(ちく)」などどれも言葉が美しい。この〈ことば辞典〉の第3弾『花のことば辞典』が同じ講談社学術文庫から出た。1000以上の花にまつわる言葉が紙面に踊る▼雨に似合う花ならアジサイ。好きな句に〈あじさゐの藍を盗みに闇迫る〉長谷川秋子。擬人化し藍の奥深さと薄暮のコントラストを巧みに表す。〈花(か)神(しん)〉は中国で花の精を言う。司馬遼太郎は倒幕の司令官・大村益次郎を、維新の花を咲かせた〈花神〉として描く。今年は益次郎没後150年。最期をみとった日本初の女医・楠本イネ。イネの父シーボルトは西欧にアジサイを紹介した▼花と雨を結ぶいくつもの“物語”がある。

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