JAグループラボ 先端技術で事業創出を

 JAグループの「イノベーションラボ」が始動した。JAや農業・農村を巡る情勢は大きく変化しているが、ベンチャー企業との連携で、新たなサービスやビジネスモデルの可能性を探ることが狙いだ。ピンチをチャンスに変え、農業から金融、食、暮らしまで総合事業を手掛けるJAグループのこれまでにない強みを生み出そう。

 先端技術を使った業務の効率化は、大手企業を中心に普及が進んでいる。例えば、パソコンでのデータ入力や定型資料の作成といった業務を自動化する「RPA」は既に広く活用されている。同技術を活用する農林中央金庫は、デジタル技術を使ったJAバンクの営業店事務の効率化、省力化に向けて5年で600億円を投資する。

 こうした技術をどこまで活用できるかで、生産性に差がつく。さまざまな事業で企業と競争が迫られた場合、先進技術を活用しきれないと、大きな弱みとなる。新事業創出に向けても、ITをはじめとする先端技術が鍵を握る。農業現場では、無人トラクターや搾乳ロボット、家畜管理の高度化・効率化、ドローン(小型無人飛行機)を活用した農薬の散布などの技術が広まっている。こうした技術の普及には、JAグループも一定程度関わっている。

 一方で、ベンチャー企業が次々と農業分野で全く新しい事業を立ち上げている。農家への資材の販売や農産物の販売に関わるものなど、これまでJAグループが事業展開していた分野と競合するような事業も生まれている。

 先端技術の導入は、JAグループの生き残りに向けて欠かせない要素といえる。第28回JA全国大会決議では、地域の活性化に向けて、他組織との連携を重視する方針を掲げた。地域活性化をJA単独で実現するのは難しいためだが、こうした効率化や、新事業創出に向けたIT技術の活用も同様に、他企業などとの連携を重視すべきだろう。

 今回立ち上げたベンチャー企業と連携するイノベーションラボは、大手企業の多くが既に手掛けている手法だ。しかし、JAグループには他の企業にはない強みが数多くある。

 まず総合事業を手掛けていることだ。新たな事業は、事業間の境目に生まれるといわれており、数多くの事業を手掛けるJAグループには、業種をまたいだ連携や新事業を生み出しやすい環境にある。全国にネットワークを持ち、協同組合として組合員との結び付きも強い。地域からの信頼感もある。現場での実証や全国に向けた普及が比較的しやすい点も特徴だ。こうした強みは、さまざまな技術を生かせる土壌となる。

 ラボに集まる人のアイデア、知見を融合させることで、これまでにない事業の創出が期待できる。先端技術の活用は、JAグループにとっても大きなチャンスといえる。 
 

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